Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス
聞こえの価値と信頼関係、そして認知症について
日常の会話の重要性
会話は、日常的に行っているコミュニケーションの代表的なものです。信頼関係は、伝えたいことが正確に伝わっていることを、お互い認識することでスタートします。
たとえば、会話の受け手が難聴だった場合、その人は、送り手の内容を聞き間違えてしまい、内容が良くわからないまま会話が進んでしまうことに不安を感じ、内容がわからないことに対して自信を失い、孤独を感じます。一方の会話を投げかけた送り手は、同じく不安を感じ、時には苛立ちを感じるようになります。そうなるとそこに信頼関係は生まれません。
会話は、信頼関係を築くうえで最も有効で日常的な手段ですが、受け手に聞こえの問題がある場合、逆効果になりかねないのです。
難聴者が感じる負い目
しばしば難聴者は、会話の内容がわからないことを隠そうとします。それは、相手に何度も同じ話をしてもらうことに負い目を感じているからです。決して適当に聞き流しているわけではありません。
しかし、会話の送り手は、そうは受け取らず、自分の言っていることを軽視されていると感じ、否定されていると感じます。やはりそこに信頼関係が生まれることはありません。
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聞こえの価値
聞こえの改善は、家族とのつながり、友人とのつながり、社会とのつながりをより確かで強固なものにしてくれます。もしも、聞こえの問題を自覚していたり、ご家族の中に難聴者がいて、補聴器などの聞こえの改善対策を行っていないのであれば、早めの対策をすることをおすすめいたします。
難聴は認知症の危険因子
2015年に厚生労働省から発表された新オレンジプランでは、「加齢、遺伝性のもの、高血圧、糖尿病、 喫煙、頭部外傷、難聴など」が認知症発症の危険因子に挙げられています。
これは、難聴でコミュニケーションが困難になることによって、社会とのつながりが減少し、認知機能が衰えていくことを指しています。
医学研究の報告
2011年に発表されたアメリカにおける研究では、60歳代の認知と聴力の関連を調査した結果、25dBの聴力低下に伴う認知機能の低下は、7歳分の加齢と同等であると報告されています。※1
難聴とアルツハイマー病関連に関する36歳~90歳を対象とした調査では、健聴者に比べて認知症を発症する可能性は、軽度難聴で1.9倍、中等度難聴で4.9倍高くなると結論付けられています。※2
また、2012年に発表された研究では、1057人の男性を17年かにわたり追跡調査した結果、聴力が10dB低下するたびに認知症発症リスクは2.7倍増加すると報告されています。※3
※1 Lin,Frank R. “Hearing loss and cognition among oide adults in the United States.”※2 Lin,Frank R.,et al.”Hearing loss and incident dementia.”※3 Frank R.Lin and Prof.”Hearing well to train your brain”
難聴セルフチェック
- 聞き返しが多い
- 聞き間違いが多い
- テレビの音量が大きいと言われる
- 電話が聞き取りにくい
- 複数人での会話が聞き取りにくい
- 音は聞こえているけど内容がわからない
お心当たりはありませんか?聞こえの衰えは自覚しにくいものです。上記のような状況に心当たりがあれば、一度専門家に相談してみましょう。
まとめ
聞こえの価値は、とても高いです。しかし、難聴者にとっては、かつて当たり前に聞こえていた分、その重要性、必要性をを低く見積りがちです。そして、健聴者は目に見えない「難聴」について深く考えることはあまりありません。
「聞こえにくい」のその先には、コミュニケーションが困難になることで起こる、さまざまな問題が待ち構えています。問題が起こる前にぜひ聴覚ケアをご検討ください。