補聴器の両耳装用のメリット

聞き返すことが多くなり、聞き間違いをする頻度が増えた時、そろそろ補聴器の出番かも、と考える人は多いと思います。

しかし、ほとんどの方は、難聴や補聴器についてよくわからない、知らないと思います。

今回は補聴器をするのは片耳なのか、それとも両耳なのかわかりやすく解説したいと思います。聴力のパターンは十人十色で専門家は、聴力レベルと言葉の聞き取り能力を測定してベストな選択を心がけます。ですから、どのように装用するのかは測定結果によります。ここでは、年齢とともに徐々に低下した感音難聴を想定して解説していきます。

 

【感音難聴についてはこちら】

 

【加齢性難聴についてはこちら】

 

左右の耳の役割

人間に限らず哺乳類には左右に一つずつ耳がついています。これは方向や距離感を認識するためです。危険を察知しても方向や距離感が掴めなければ、どこから危険が迫ってくるかわからずパニックになってしまうので左右に必要です。

人にとっては、左右から入ってくる音情報のおかげで方向と距離感がわかることに加えて、言葉の聞き取りも向上します。

年齢を重ねるとともに低下した難聴(加齢性難聴)は、そのほとんどが両耳同じように聴力低下をしています。これは右耳と左耳が同じ音環境に晒され生活をしていたためで、突発性難聴のような片耳の聴力だけが突然低下する場合を除けば両耳の聴力は同程度であることが多いのです。

先述したとおり、人間は左右から入ってきた音でいろいろな情報を獲得し判断しています。ですから、両耳が同じように低下している場合は両耳に補聴器を装用した方が自然な聞こえとなるのです。

ここで、両耳装用のメリットとデメリットを挙げてみましょう。

・メリット

  • 雑音下における言葉の聞き取りの向上
  • 複数人での言葉の聞き取りの向上
  • 音の方向感や距離感、立体感の認識
  • 疲れにくい
  • 聴覚の維持

・デメリット

  • 価格が2台分になる
  • 装用する手間が倍になる

 

メリットは聞こえに関することが中心ですが、デメリットは価格と使い勝手です。昔であればデメリットのところに「うるさくて疲れる」が入っていたかもしれませんが今は雑音抑制機能が優れているので除外しても良いと思います。

むしろ片耳よりも両耳の方が補聴器の音量は下げられるので「疲れにくい」と言えます。さらに、最近の補聴器は両耳装用で効果を発揮できる両耳連動などの機能も充実してきました。

メリットを深掘り!

雑音下における言葉の聞き取りの向上・複数人での言葉の聞き取りの向上

両耳装用をすることで、聞き取りやすさである「明瞭度」が良くなります。また、異なる音が同時に入ってきても、それぞれを分けて弁別できるようになります。

音の方向感や距離感、立体感の認識

左右に届く音の音圧差と時間差(位相差)により、聞こえてくる音を分析、処理し、方向感や距離感、立体感を認識することができます。

疲れにくい

両耳装用をすることで必要な音圧が少なく済みます。これを両耳加算効果と言い、片耳装用と比べて約3dB小さくできます。

聴覚の維持

海外の論文では、片耳に装用した場合、補聴器をつけていない方の耳の言語認識力が衰え始めるという報告があります。

さらに、片耳装用の期間が長ければ長いほど、いざ補聴器を今までしていなかった耳に付けたとしても回復が見込めないばかりか、上記の両耳装用の利点がまったく得られない可能性があるといわれています。

両耳装用は脳にとっても大切なこと

両耳でバランスよく聞くことは脳にとって大切なこと。ご存じのとおり脳には右脳(感情脳)と左脳(言語脳)があります。2つの脳はそれぞれ働きが違うため片方だけあれば良いというものではありません。

耳から入ってきた情報は左右の脳に届けられ処理されますから、左右バランスよく聞くことが大切となるのです。

さいごに

いかがでしょうか。これだけ聞こえのメリットがあるので、同じくらいの聴力低下であれば両耳装用がおすすめです。ただし、左右の聴力差が40dB以上ある場合はその限りではありません。いずれにしても補聴器の装用は専門家に相談することをおすすめします。