会話を聞こえやすくしてくれる脳の働きと補聴器

  • COPY LINK

Last Updated on 2024年6月28日 by 補聴器専門店ミラックス

自分の感覚と実際の聞こえ

 難聴の状態を長期間放置していると、聞こえにくい状態が当たり前になることで、さまざまな問題が出てきます。主観的な聞こえにくさと客観的な聞こえにくさは違うことが多く、それは、聞こえにくい状態と聞こえている状態の区別がつかないことで起こります。

 

 つまり、自分では「聞こえている」と思っているのに、実際に聴力を測定すると低下しているということです。

 

 難聴者は聞こえている音だけを聞いているので、自分が聞こえにくくなっている程度がわかりにくいです。音は目に見えるわけでもなく、そこにとどまることもないのでその都度確認することが難しいという面も関係しています。

 

 そういった聞こえにくい状態を続けていると、脳は限られた情報でしか判断しなくなるのが通常運転となるため、慢性的な情報不足脳となります。

 

SN比

 脳の働きには音声と環境音を聞き分ける働きがあります。しかし、難聴になると情報不足でその働きは鈍くなります。そのため、難聴者は健聴者よりも高いSN比を必要とします。これは語音明瞭度の低下が関係しています。語音明瞭度とは、言葉の聞き取りの能力のことで、平たく言えば聞き間違いの割合です。

 

SN比についてはコチラ

 

経時マスキング

 難聴者の聞こえに大きな影響を与えているのが経時(継時)マスキングという現象です。これは大きな音が発生したときにその前後の音が干渉されてマスキング(隠される)されてしまう現象です。

 実際の環境では、雑音(環境音)の変化が激しいため、難聴者、特に高齢者はその影響を受けやすく、語音明瞭度の低下を引き起こします。

 

健聴者の脳の働き

両耳スケルチ

 健聴者の聴覚には、音声と雑音を聞き分ける働きがあります。内耳にある正常できれいな有毛細胞が、常に脳に正確な信号を送り、音情報を学習、認識しています。そのおかげで「両耳スケルチ」という働きが行われています。

これは、左右それぞれの耳に入ってきた音の差を識別して、音声と雑音が混ざった音の中から雑音だけを取り除く働きのことです。

カクテルパーティー効果

 その他にも「カクテルパーティー効果」というものがあります。これは、雑音下での会話が片耳よりも両耳の方が鮮明になり、会話を理解しやすくなる効果のことです。

 

 パーティー会場のような場所で、大勢の人が同じような声の大きさで話している時、会話相手の話を聞きとることが出来るのはこの効果のおかげです。ちなみに片耳を塞ぐとその効果はなくなるため会話はとても聞きとりにくくなります。

 

 また、音の方向感や距離感などの空間認識の働きもあります。

 

難聴者の脳の働き

 加齢性難聴に代表される感音難聴は、有毛細胞が損傷しているため正確な情報を脳に送ることが出来ません。

それゆえ認識されない音やあいまいな音があるため、正確な音情報を学習、認識できないということが常態化します。当然、両耳スケルチやカクテルパーティー効果、音の方向感などは損なわれてしまいますので脳の働きはとても限定されてしまいます。

補聴器の役割と設定方法

 そこで補聴器は、ユーザーの低下している聴力(損傷している有毛細胞)を補う役割をしてくれます。そして、そのためには聴力や聴覚の状態に合わせた調整が必要不可欠となります。

補聴器の調整で一番重要なのは「初期設定」です。

正確な聴力測定、適切な耳栓やシェルの形状の選択、実耳測定による裸耳利得の測定をし、補聴器にそれらの値を入力設定して計算式によって補聴器の音を決定します。

 

 はじめて補聴器を装用する場合は、聴覚の慣れを必要とするため、弱めの設定からスタートし、効果測定をしながら少しづつ目標値に近づけていきます。

 

おおよそ2ヵ月あれば9割ほど調整は進み、それに伴い脳の働きも良くなってきます。脳の働きがよくなってくると音声の聞き分けもよくなってくるのでさらに使いやすくなって、好循環が生まれます。

補聴器の機能がSN比を改善してくれる

 調整が目標に達すれば、補聴器に搭載されている様々な機能が最大限に発揮され、聞こえを良くしてくれます。

 

 もっとも、補聴器の機能の多くは1.5m以内が一番効果を発揮するようになっています。会話相手が離れすぎると機能が働かなくなるので、ユーザーは機能の限界を知っておくとより使いやすくなるでしょう。

 

さいごに

 適切に調整された補聴器は脳の働きの助けになることは間違いありません。逆に、調整不足や調整不良の場合は1.5m以内であっても聞きとりにくいケースは出てきます。

初期設定や効果測定は、認定補聴器技能者などの専門家に相談しましょう。

(Visited 14 times, 1 visits today)