耳鼻科や補聴器専門店では、防音室の中でオージオメーターという測定機器を用いて聴力測定が行われます。測定結果は「オージオグラム」という聴力図にデータが記入されます。
オージオグラムは、縦軸が音の大きさ(聴力レベルdBHL)、横軸が音の高さ(周波数Hz)を表しており、周波数ごとの聴覚閾値(聞こえ始める値)を測定しているものです。
音の大きさを表す「聴力レベル」とは、健聴者の平均的な聴覚閾値(聞こえ始める値)を0dBと定めたものです。つまり、健聴の状態からどれだけ聞こえにくくなっているのかを知ることができます。また、音の高さは数字が大きくなるほど高音域となります。
自分の聴力を確認してみよう!
0dBを基準に、下に行くにしたがって10、20、30dBと数字が大きくなり、25dB~は軽度難聴、40dB~は中等度難聴、70dB~は高度難聴、90dB以上は重度難聴と、区分されており、一般的に、40dB以上の中等度難聴から補聴器を使用するケースが多いです。
聴力のパターンはいくつかあり、年齢とともに聴力が低下していく「加齢性難聴」は、高音漸傾型で、高音域から聴力低下がはじまり、少しずつ中音域の聴力が低下していきます。
聴力測定は、正式には純音聴力測定と言い、気導と骨導があります。
気導は、ヘッドホンをして、耳の穴から鼓膜に伝わる空気の振動による聞こえを測定します。骨導は、骨を伝って直接内耳に伝わる音を耳の後ろに端子を当てることで測定します。
この2つの測定を行うことによって、難聴の種類を確認することができます。
オージオグラムの見方
気導は、右耳が赤い「〇」、左耳が青い「✖」で記されます。骨導は、カギカッコで記され、右耳は[ 、左耳は ]となっています。また、測定不能の場合は矢印「↓」を使用します。
ちなみに、右耳は赤色で、左耳は青色でマークされるのが世界標準となっています。
人の可聴閾値(聞こえる範囲)は、20Hz~20,000Hzと言われていますが、オージオグラムでは、会話に必要な帯域がメインとなっています。日本語の母音は、500Hz付近に分布されており、カ行やサ行のような子音は2,000Hz以降に分布されています。
加齢性難聴の多くの方が経験するのが、「いちじ」と「しちじ」や「さとうさん」と「かとうさん」などの聞き間違いです。これらの聞き間違いは、聴力が低下すると隣接する周波数の音との区別が付きにくくなるために発生します。
まとめ
ご自身の聴力データを見ても、実際にどの程度の難聴なのかわからないことがほとんどかと思います。1つの目安としては、聴力レベルが40dBを超えてきたら一度補聴器を検討されても良いと思います。また、仕事で会話が多い場合は、30dBくらいの軽度難聴でも補聴器を使用しているケースも多々ありますので、検討してみると良いでしょう。
最近のデジタル補聴器は、低下している周波数の部分のみを細かく調整することができます。より良い聞こえで、生活をもっとクリアにしていきましょう。