Last Updated on 2021年6月11日 by 補聴器専門店ミラックス
はじめに
イヤモールドとは、耳掛け型、ポケット型補聴器用のオーダーメイド耳栓のことです。印象材を使って耳型を採取して作成します。耳型採取は補聴器専門店で、認定補聴器技能者などの資格を持った人に採取してもらいましょう。
カスタムIEM(イヤモニ)のインプレッション採取【リシェル・リモールド】についてはこちら
メリットとデメリット
イヤモールドのメリット
ハウリング防止
装用者の耳の穴の形に合わせて作成するため、外耳道に隙間がなくなり、動きによるズレもなくなるため、ハウリングが起きにくくなります。
固定
補聴器が外れにくくなり、脱落の心配がなくなります。また、音の出口が正しい方向に固定されるため、安定した効果を得ることができます。
音響特性の調節
耳道部の長さ、音道の形、ベントの作成で音響特性に変化をつけることができます。
フィット感
耳の穴の形に合っているので、ピッタリとしたフィット感を得ることができます。
イヤモールドのデメリット
外耳の慢性的な炎症(慢性中耳炎など)には不向き
外耳道に炎症が起きている場合は、炎症が悪化する恐れがあるので、基本的にイヤモールドの装着は不向きです。耳鼻科医に相談しましょう。
自声のこもり感
耳の穴の隙間が塞がれるので、自分の声がこもって聞こえたり、反響して聞こえたりします。慣れるまで少し時間がかかります。
種類と特徴
硬質(ハード)
硬いアクリルを磨き上げたもので、耐久性に優れている。一般的に選択されるタイプ。
軟質(ソフト)
柔らかいアクリルやシリコン素材を使用。耐久性は硬質と比べるとやや劣るが、装用感が良い。
コンビ
外耳道(耳の穴)に入る部分を軟質の材料、外部に出ている部分を硬質の材料で作成したもの。耐久性はもっとも劣る。
形状と特徴
カナル
軽度~中等度難聴者向け、小さめに作成するため目立ちにくいが、外耳道の入り口が下向きで円錐状だと不向き。
スタンダード
一般的に選ばれているタイプ。軽度~高度難聴まで幅広く対応している。カナルと比べると少し目立つが、その分ハウリングが起きにくい。
シェル
スタンダードと同じ特徴だが、外から見える部分を薄く削り、スタンダードよりも目立ちにくくしている。
スケルトン
シェルから更に不要な部分を削ったタイプで、軽量で目立ちにくい。
オープン
外側はスケルトンと同じで、外耳道部分は密閉しないように出来るだけ細く作成する。軽度~中等度難聴者向け、こもり感を軽減し、主に高音域のみを増幅する。
ブロック
ポケット型補聴器用のイヤモールド。
イヤモールド選択のポイント
- 通常は、硬質のカナルタイプを選択しましょう。
- 平均聴力レベルが70dB以上の場合は、スタンダードタイプがおすすめです。
- 高齢者は、硬質のカナルタイプがおすすめで、子供には、軟質のスタンダードタイプがおすすめです。
- アクリルアレルギーがある場合は、軟質のスタンダードタイプがおすすめです。
- 耳毛が多い方は、硬質よりも、軟質かコンビがおすすめです。
RIC用イヤモールド
RIC(Receiver-In-Canal)とは、レシーバー(スピーカー)が耳の穴の中に配置されるタイプの耳掛け型補聴器です。レシーバーを本体の外に出したことで、耳にかかる補聴器本体の大きさを小さくすることができ、とても人気があります。
このRICタイプにもイヤモールドがあり、主に、レシーバーのパワーによって種類が異なってきます。
軽度~高度難聴までは透明なアクリル製の透明なイヤモールドをレシーバーに装着します。重度難聴者向けのハイパワータイプは、シェルの中にレシーバーを組み込むための取り外しができないようになっています。
ハウリングが起きやすい場合や着脱がやりにくい場合にとても有効です。
まとめ
イヤモールドは、高度難聴以上であれば、作成を視野に入れておきましょう。また、既製の耳栓だとうまく装着出来ないような場合にも有効です。慣れるまでは、自分の声が反響したり、こもって聞こえたりしますので、ゆっくり慣れていきましょう。