ワンワン響く反響音
言葉の聞き取りにおいて反響(エコー)する環境というのはとても厄介です。これは、難聴者に限らず、健聴者でも同じことが言えます。
音源から直接耳に届く「直接音」と壁や天井、床などに音が反射し発生する「反射音」が重なり合って耳に届くことで音がダブり言葉が聞き取りにくくなります。
音は常温(15℃)で1秒間に340m進みます。仮に、部屋幅が10mだとして、端から音を出した時、音は反射して往復で20m進むということになります。前述したとおり、音は1秒間に340m進むので、340m÷20mで17回往復することとなります。17回も同じ音が往復するので音の明瞭度は下がってしまいます。
実際には、壁の素材や家具、カーテンなどさまざまなもので吸音されるので反射は少なくなりますが、家具が何もない状態の部屋は、音の反射が多くなり、残響時間が長くなるため会話は聞きとりにくくなります。なお、窓ガラスやコンクリート、大理石など、素材が硬いほど反射は多くなります。
また、高い音(高周波数)ほど空気による吸収が大きく、温度が高いほど吸収は大きくなります。逆に湿度が高くなると吸収は少なくなります。
反響音のイメージ
反響がしやすい場所
- 教会
- 体育館
- 風呂場
- 家具やカーテンなどが少ない部屋
- トンネル
- ホテルのエントランス
- 博物館
- 美術館
- 地下鉄のホーム
補聴器は反響音が苦手
補聴器は、周囲の音をマイクで拾いさまざまな処理をして言葉を聞き取りやすくするアイテムですが、反響音の処理はとても苦手としています。反射が多い部屋での会話に苦労されている補聴器ユーザーはとても多いのではないでしょうか。
補聴器で反響音を抑制するためには、高度な情報処理能力が求められます。それゆえ、反響音抑制機能を搭載している補聴器は、プレミアムクラスのみとなっています。
反響音抑制機能搭載のプレミアム補聴器
シグニア補聴器からは、最新機種であるエクスペリエンスシリーズの「7X」、エヌエックスシリーズの「7NX」、プライマックスシリーズの「7PX」に搭載されています。シグニアの「エコーシールド」は、ワンワン響く反響音をしっかりと抑えます。
シグニア補聴器:エクスペリエンスシリーズを詳しく知るにはコチラ
フォナック補聴器からは、最新機種であるパラダイスシリーズの「P90」、マーベルシリーズの「M90」、ビロングシリーズの「B90」に搭載されています。フォナックのエコーブロックは、反響音を抑制。音声のひずみもなく自然な聞き取りが可能です。
聴力測定室の反響音対策
ミラックスの聴力測定室は、広さ3畳のオーダーメイド防音仕様となっています。床面はタイルカーペット、天井は吸音石膏ボード、壁には吸音ボードを張り付け、音の反射を抑えています。