Last Updated on 2022年3月9日 by 補聴器専門店ミラックス
はじめに
補聴器は電池で動いています。現在主流になっているデジタル補聴器は小型化が進み、目立ちにくい形状の物がほとんどです。ただし、電源となっている電池の大きさは種類の違いはあれどずっと同じ大きさです。
使用環境によりますが、黄色のシールの小さいサイズ(PR536・10A)で3日ほどの寿命、茶色のシールのサイズ(PR41・312)で一週間前後の寿命、オレンジ色のシールのサイズ(PR48・13)で2週間前後の寿命となっています。
補聴器用の空気電池は、おおむね3日から2週間に一度電池を交換する必要があり、面倒くさく感じている方が多いです。そんな中、2016年の暮れに、リチウムイオン電池搭載の充電式補聴器がフォナック補聴器から発売されると、瞬く間に人気となりました。
フォナック:マーベル
充電式はリチウムイオン電池
充電式補聴器は現在、世界6大ブランドすべてで発売されています。充電式発売当初は、ハイブリット型の「銀亜鉛電池」を販売しているメーカーもいくつかありましたが、2022年現在では、リチウムイオン電池が主流となり、銀亜鉛電池はほとんど見かけなくなりました。
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充電式補聴器比較表※2022年3月更新
リチウムイオン電池1 | |||||
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メーカー | GNヒアリング | GNヒアリング | GNヒアリング | フォナック | フォナック |
シリーズ名 | ワン | クアトロ | キー | マーベル | パラダイス |
充電方法 | 非接触型 | 非接触型 | 非接触 | 接触型 | 接触型 |
充電時間(フル充電) | 3時間 | 3時間 | 3時間 | 3時間 | 3時間 |
連続使用時間 | 30時間・24時間 | 30時間・24時間 | 30時間・24時間 | 18時間 | 24時間 |
充電器の仕様 | ケース+蓄電 | ケース+蓄電 | ケース+蓄電(別売) | ケース+蓄電(別売) | |
蓄電(予備充電) | 3回分 | 3回分 | なし | 4回分(別売) | 4回分(別売) |
片耳本体価格(非課税) | 160,000円~ | 160,000円~ | 125,000円 | 200,000円~ | 202,000円~ |
両耳本体価格(非課税) | 320,000円~ | 320,000円~ | 250,000円 | 400,000円~ | 404,000円~ |
充電器(税込) | 33,000円 | 33,000円 | 17,600円 | 12,000円 | 12,000円 |
メーカー | シグニア | シグニア | シグニア | シグニア |
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シリーズ名 | insio AX(耳あな) | Pure AX | X | スタイレットX |
充電方法 | 非接触型 | 接触型 | 非接触型 | 接触型 |
充電時間(フル充電) | 4時間 | 4時間 | 3時間 | 4時間 |
連続使用時間 | 28時間 | 28時間 | 23時間 | 19時間 |
充電器の仕様 | +ケース | +ケース+蓄電or乾燥ケース | +ケース | +ケース+蓄電 |
蓄電(予備充電) | なし | 4回分 | なし | 3回分 |
片耳本体価格(非課税) | 260,000円~ | 260,000円~ | 150,000円~ | 150,000円~ |
両耳本体価格(非課税) | 520,000円~ | 520,000円~ | 300,000円~ | 300,000円~ |
充電器(税込) | 44,000円 | 44,000円 | 44,000円 | 44,000円 |
充電式耳あな型補聴器が登場
シグニア:インシオAX
2020年6月下旬には、スターキー補聴器より世界初となる充電式耳あな補聴器が発売されました。そして、2022年2月にはシグニア補聴器より非接触型充電式の耳あな型補聴器「インシオ チャージ&ゴー AX」が発売されました。見た目はワイヤレスイヤホンのようでとてもスタイリッシュです。
イヤホン型も登場
シグニア補聴器からは、既製の耳栓を使用する充電式イヤホン型耳あな補聴器「アクティブ」も発売されています。こちらの製品は総合カタログには載っていませんが、「Xセンサー」搭載の最先端補聴器です。ケースは蓄電機能付きでポータブルケースとなっています。
低価格帯が充実
2021年になると各メーカーから低価格の充電式補聴器がリリースされています。
GNリサウンドからは、2020年8月にリサウンド・ワンシリーズが新発売され、4クラスが片耳160,000円。2021年発売のリサウンド・キーは、片耳125,000円。また、シグニア補聴器からは、2021年1月下旬に片耳150,000円の「1X」と片耳200,000円の「2X」がエクスペリエンスシリーズに追加されました。
※片耳の金額は充電器を除く
30分急速充電
どのメーカーも一回のフル充電で丸一日使用可能です。寝る前に補聴器を充電器にセットしておけば朝から一日中使用できます。リチウムイオン電池の特徴は短時間充電で長時間使用可能なことです。
万が一充電を忘れてしまっても30分充電で6時間使用可能になります。
シグニア:スタイレットX
リチウムイオン電池の特長や寿命など
リチウムイオン電池は電池容量が大きく、1回の充電での使用時間が長いのが最大の長所です。
また、急速充電が可能で、30分の充電で約6時間の使用が可能となっています。
充電回数は、フォナックの充電式補聴器「マーベル」を例にとると、0%~100%の放電で1回として、1500回の充電が可能で、おおむね4年くらいとなっています。
もっとも、毎回100%使いきることはまずないので充電回数はもう少し多いでしょう。また、4年経ったからと言って充電できなくなるわけではないので、必ずしも4年ごとの電池交換が必要なわけではありません。各メーカー大体同じだと思って良いと思います。4年以上経って、丸一日持たなくなったら専門店で交換してもらいましょう。価格はおおよそ2万円です。
そして、リチウムイオン電池は自然放電が少なく、1か月で1%~2%ほど減衰する程度です。ただし、電源が入っていると各機能が働くため電池は消耗していきますので、保管するときは電源を必ず切るようにしましょう。
リチウムイオン電池の注意点
リチウムイオン電池は、バッテリーが0%の状態で放置してしまうと「過放電」といい、劣化が進みます。場合によっては再充電できなくなる場合もあるので気を付けましょう。説明書には、満充電から少なくとも6ヵ月以内に補聴器を再充電する必要があると記載されています。
また、高温下での充電も劣化を進める要因になるので暖房器具の近くなどに充電器を置くのはやめましょう。
充電のタイミング
補聴器は基本的に一日中装用するものなので、寝る前に充電器にセットすれば問題ありません。ほとんどの機種は充電器にセットされると自動的に電源が切れ、取り出すと電源が入るようになっています。
また、過充電にならないためのプログラムもされていますので、充電が終了してもそのまま充電器に入れておいて問題ありません。
GNリサウンド:リンクスクアトロ
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フォナック:オーデオパラダイス
最新の充電式補聴器
AXシリーズ(エーエックス)片耳260,000円~、充電器44,000円(税込)
シグニア補聴器の最新充電シリーズは「AX」シリーズです。豊富なラインナップでお客様のニーズに応えています。
充電式は、RIC型に加えて、耳あな型「インシオ」の2機種を展開しています。
小型耳掛け型「PURE AX」は、蓄電機能付きのポータブルケースか乾燥機能付きの据え置きタイプの充電器のどちらかを選ぶことが可能です。
どちらのタイプも補聴器を充電器にセットすると自動で電源がオフになり、取り出すと電源がオンになる仕様となっており、とても便利です。
また、アップル製品とは※ダイレクトストリーミングが可能となっています。
パラダイスシリーズ片耳202,000円~、充電器12,000円(税込)
フォナックの最新充電式シリーズは「パラダイス」シリーズです。新チップ「プリズムチップ」と新たにモーションセンサーを搭載し、さらにオートマチック機能が進化しました。前シリーズ「マーベル」と同じく、携帯電話との連携がスムーズでiphone、Androidに関係なくダイレクトストリーミングが可能となっています。
また、通話方法はヘッドセット方式なので、携帯電話に向かって話をする必要がありません。補聴器のマイクが話者の声をキャッチし、相手に伝え、相手の声は補聴器から直接聞くことが可能です。
フォナック補聴器のテクノロジーは補聴器任せで「いい音」にしてくれるオートセンスOS。周囲の音環境を分析し、最適なプログラムを自動的に選択・ブレンドしてくれるので、音が自然に変化します。0.4秒ごとに音を分析し、200以上の設定からより良い音をお客様に提供します。
ワンシリーズ片耳160,000円~、充電器33,000円(税込)
リサウンド補聴器の最新充電式シリーズは「リサウンド・ワン」シリーズです。非接触型の充電式補聴器で、1回のフル充電で30時間の長時間使用が可能です。また、充電ケースは蓄電機能を備えており、3回分のフル充電が可能となっています。その他、Bluetooth LEを採用しているためワイヤレス接続を12時間使用しても24時間の使用が可能で、電池の持ちは一番です。
世界初の3マイク「リサウンド・ワン マリー」は、耳の穴の中に3つ目のマイクを配置したことで、耳本来の集音機能を最大限に活かしてより自然な聞こえを実現してくれます。(7・9クラスのみ)
リサウンド補聴器はMFI(made for iphone)なのでアップル製品との連携がとてもスムーズで、ダイレクトストリーミングが可能となっています。
そして、「リサウンド・ワン」シリーズは、遠隔サポート・リサウンドアシストが、追加料金なしで利用可能で、いつでもどこからでも調整依頼ができ、好きなタイミングで補聴器の調整を受けることができます。
また、紛失保証などの保証制度が充実していて、すべてのクラスに保証制度が付いています。
※ダイレクトストリーミングとは補聴器とスマホなどの端末をBluetoothで接続し、端末の音声を直接補聴器で聞くことができるものです。
まとめ
以前は銀亜鉛電池のハイブリット型もラインナップされていましたが、2022年にはリチウムイオン電池一色となりました。充電式の主流は耳掛け型ですが、2022年2月にシグニア補聴器から「充電式耳あな型」補聴器が発売され、需要が高まっています。
また、お求めやすい価格帯も充実してきましたので、この機会にぜひ充電式を試してみてください。