補聴器満足度に直結する効果測定【装用閾値測定と実耳測定】

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Last Updated on 2024年4月19日 by 補聴器専門店ミラックス

 補聴器調整の難しいところは、その効果を評価、確認する手段が1つでは不十分な場合があるところです。日本における補聴効果の確認方法には、日本聴覚医学会が定めた「補聴器適合検査の指針2010」があります。

 

「補聴器適合検査の指針2010」

  1. 語音明瞭度曲線または語音明瞭度の測定
  2. 環境騒音の許容を指標とした適合評価
  3. 実耳挿入利得の測定(鼓膜面音圧の測定)
  4. 挿入型イヤホンを用いた音圧レベル(SPL)での聴覚閾値・不快レベルの測定
  5. 音場での補聴器装用閾値の測定(ファンクショナルゲインの測定)
  6. 補聴器特性図とオージオグラムを用いた利得・装用閾値の算出
  7. 雑音を付加したときの語音明瞭度の測定
  8. 質問紙による適合評価

 

日本聴覚医学会ホームページ

専門店が行っている測定

 補聴器専門店はこの指針を参考に補聴効果を測定、補聴器の調整を行っています。

これら8つの評価方法はすべて行うわけではなく、組み合わせて評価・調整していきます。

原則(1)と(2)が必須項目となっており、多くの専門店では(5)の装用閾値測定をプラスして行っています。

 

 

装用閾値測定(ファンクショナルゲイン測定)

 この測定は、ユーザーが補聴器を装用した状態の効果を測定するもので、効果を客観的に数値化して確認することができるため、補聴器の使用満足度向上が期待できます。

 ただし、 防音室で測定することが推奨されており、ある程度のスペースが必要なため実施しているのは設備が整っている専門店が多くなります。

防音室の中

装用閾値測定の問題点

 この測定は多くの専門店で実施されており、補聴効果を確認するのにとても有益な方法です。ユーザーは補聴器を装用した状態でスピーカーから出力された測定音を聞きとり、少しでも聞こえたら応答ボタンを押し、その値を記録していきます。

 この「聞こえたら」が問題で、測定者はユーザーが本当に聞こえているのか、もしくは本当に聞こえはじめで応答しているのか確認する術があまりないということです。

 

 この問題を解決するには一回の測定で調整を完了するのではなく、日を置いて複数回測定を行い、効果に大きな差がないか確認することです。通常、両耳装用の場合は片耳ずつ測定した方が良いため、装用閾値測定の大きな問題点は時間がかかるということです。

 また、測定周波数帯は非連続の5~6(250Hz,500Hz,1000Hz,2000Hz,4000Hzなど)

の周波数帯で、測定音圧は70dBHLの1レベルのみとなります。

 

実耳測定【REM】

 この測定はREM(Real Ear Measurement)レムと呼ばれ、補聴器満足度が高い欧米では標準の測定方法です。

日本での導入店舗はまだ少ないですが、着実に増えてきており、近い将来主流の測定方法となるかもしれません。

 

 実耳測定は、ユーザーの鼓膜面音圧を測定することでより正確な補聴器の効果を測定することができます。装用閾値測定と異なり必要な全周波数、連続した周波数の値を得ることができます。

 また、測定音圧のレベルも50dB、65dB、80dBと3つのレベルを測定することが可能です。この3つの入力音レベルは補聴器の働きに深く関係しているため調整におけるメリットは大きいです。

 

実耳測定のメリット・デメリット

 この測定のメリットは何といってもユーザーが応答ボタンを押すなどの動作を必要としないことです。

ユーザーは測定音を聞いているだけで良く、簡単に客観的な評価を行うことが可能です。

また、測定に要する時間も短いためユーザーの負担も少なくて済みます。

 

 実耳測定の最大のデメリットは設置コストです。専用の測定機器とソフトウェアが必要で導入費用が高額になります。ユーザーに対してのデメリットというわけではありませんが、費用の問題で導入できないということであれば、測定を受けられないことがデメリットと言えるかもしれません。

 

今後は、導入店舗と未導入店舗でユーザーの補聴器満足度の格差が広がっていくかもしれません。

 

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