補聴器専門店の測定室
補聴器専門店には、聴力や補聴効果を測定するための防音室が完備されていますが、これは外からの音を遮断するための設備です。
室内の騒音レベルは50dB(A特性)以下であること、測定音が室内で反響しにくいようにすること、2m×3m程度の広さを確保する等が望ましいとされています。
騒音レベルは低い方が良いのは想像しやすいと思いますが、補聴効果測定で一番厄介なのは反響音です。音は空気の振動なので、壁に当たると跳ね返ってきます。その跳ね返りが多いほどエコーが強くなり正確な測定ができなくなってしまうのです。
反響音は、部屋の広さや間取り、壁や床の材質に影響されます。
無響室
補聴器専門店での補聴効果測定における防音室の役割はとても重要ですが、オーディオ機器などのテストをメーカーが行う測定にはさらに反響を抑えた設備が必要になってきます。その設備は「無響室」「半無響室」などと呼ばれています。
無響室とは、壁、天井、床を高い吸音性の材質で仕上げた部屋です。
高い吸音性があるほど反射音の影響を受けないので、音源から出た音だけを測定することができます。これはつまり、屋外での音環境と同じということです。ちなみに床が通常の材質の場合などを「半無響室」といいます。
静かな部屋の究極形態
世界で一番静かな部屋としてしばしば紹介されるオーフィールド研究所には、音の 99.99 %が吸収され、音がまったく反響しない部屋(実験室)があります。この部屋は多くのメーカーが製品の音量や音質のテストをするために使用しています。
音の大きさで言うと、一般的な夜の静かな寝室が約30dBなのに対し、この部屋は -9dBとものすごく静かなのがわかるかと思います。
ちなみにミラックスの防音室は、空調を切った状態だと平均37dBとなっています。
ただ、この部屋にはそんなに長く滞在できません。なぜなら部屋に入ってしばらくすると、自分の体が発する音に襲われて耐えられなくなってしまうからです。
オーフィールド研究所によると滞在時間の最長記録は45分ということですが、ほとんどの人はその半分の時間も滞在できないとのことでした。
さいごに
補聴器を使用する環境には様々な環境音があります。その多くは雑音ですが、補聴効果測定では極力それらの雑音がない状態で測定することが重要です。なぜなら雑音を抑えるのは補聴器の機能であり、周波数ごとの設定ではないからです。補聴器の雑音抑制機能の効果が充分に発揮されるためには正確な調整、設定が必要なのです。