Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス
高い音が聞こえない人のための補聴器調整
聴力のパターンは十人十色、実にさまざまです。低音域、中音域、高音域、それぞれがどのように低下しているかで聞こえの状態は変わってきます。ですから、当然、それぞれの聞こえの状態に合った調整が必要になるわけです。
聴力パターンの一つに「高音急墜型」と呼ばれているものがあります。読んで字のごとく、低音域から中音域の聴力に比べて高音域の聴力が著しく落ちてしまっているパターンです。高音域というのは「サ」「ザ」「シュ」などの子音に関係してくる部分です。
高周波数帯域を分析する有毛細胞は蝸牛の入り口付近に配置されているため、ダメージを受けやすく、低下しやすい部分です。年齢を重ねてから低下する感音性難聴に高音域の低下が多いのはこのためです。
そんな高音域部分ですが、緩やかなカーブを描くように落ちているのではなく、中音域の終わりから高音域にかけて急激に落ちている場合があります。この場合は程度の差はあれど、高音域に関しては補聴器を装用しても聞こえにくいことが多いです。
分析する有毛細胞のダメージが大きいと、補聴器で大きな音を入れたとしても言葉の聞き取りが良くなるとは限らないのです。
しかし、最新の補聴器にはそんな課題を解決してくれる機能があります。
周波数圧縮機能
この機能は、音声をデジタル処理することによって可能になった技術の一つです。
通常の補聴器の働きというのは、聞こえにくい周波数帯の音を聞こえるところまで音量を上げて聞こえるようにするものですが、この周波数圧縮機能は、聞こえにくい高周波数帯域の音を、聞くことができる周波数帯域に圧縮加工して、言葉の聞き取りを改善させる機能です。
圧縮加工することで音質は若干落ちてしまいますが、言葉の聞き取りを最優先に考えた機能なので高音急墜型の聴力パターンの方にとってはメリットがある機能と言えます。
ただし、この機能も通常の補聴器装用と同じく、聞こえの改善には時間がかかります。初めから強い圧縮をかけると違和感が出やすいため、少しずつ圧縮を強めていくことが必要となります。
聞こえにくい高周波数帯の音を少しずつ聞こえる帯域に押し込むことで、違和感を最小限にとどめながら言葉の聞き取りの改善を目指します。
主要メーカーの最新デジタル補聴器であれば搭載されている機能ですので、詳しくは専門のスタッフに相談してみると良いでしょう。
聞こえない高い音を聞こえる帯域に押し込む周波数圧縮機能