テクノロジーの進歩で補聴器は高機能になり、どんどん使いやすくなっています。周囲の環境音や音声を分析し、デジタル処理することで、ユーザーにとって聞き取りやすい、クリアな音質を実現しています。
補聴器における音声処理の難しいところは、環境によって変化する音情報をリアルタイムに処理しなければならないことです。音は360°あらゆる方向から発生し、耳に届きます。そのすべての音を同じだけ増幅してしまうと、雑音と会話が混じりあってしまい、肝心の会話はとても聞き取りにくくなってしまいます。
そこで、補聴器には雑音抑制やマイク指向性といった、会話を聞き取りやすくするためのさまざまな機能が搭載されています。
最新の補聴器は、雑音抑制、マイク指向性、空間認識、モーションセンサー、環境認識音量調整、両耳連動、環境適応などなど、とてもたくさんの機能が、周囲の雑音や音声情報の有無によって自動で働きます。
もちろんすべての機種に搭載されているわけではありませんが、一昔前に比べると、比較的リーズナブルな価格帯から搭載されるようになってきました。
いろいろな全自動機能
空間認識
- 左右の耳の音量差を正確に再現し、方向感・距離感を自動調整してくれる機能
雑音抑制
- 会話や環境音を分析し、雑音が気にならないように自動調整してくれる機能
マイク指向性
- 左右の補聴器が連携し、周囲の状況を分析。環境に応じて自動で会話を聞き取りやすくしてくれる機能
- 360°からの音声に反応し言葉を聞き取りやすくしてくれる機能
- 非常に騒がしい環境で、前方の会話を聞き取りやすくするために、マイクで拾う範囲をフォーカスしてくれる機能
モーションセンサー
- 装用者が歩いているか、止まっているかを自動で判別し、歩いている時は周囲の音を聞き取りやすくし、止まっている時は、主に前方の音声を聞き取りやすく自動調整してくれる機能
環境認識
- 静かな環境では大きく、騒がしい環境では小さくしてくれる自動音量調整機能
まとめ
全ては、補聴器ユーザーがストレスなく会話を聞き取るための機能です。上記の機能は単独で働くというよりも、大抵は同時に働いています。それぞれの機能が組み合わされて働くことで、言葉の聞き取りが改善されます。また、これらの他にも、反響音抑制や周波数圧縮、突発音抑制など特別な機能も搭載されています。
補聴器に搭載されている機能は一般的になじみがないものばかりなので、気になる機能については、専門家に聞いてみると良いでしょう。