会話は最強のコミュニケーション
コミュニケーションの手段として「会話」はとても有効であり、最も使われているのではないでしょうか。会話は、意思疎通や相互理解を深めるうえでとても重要で、簡単に行えます。
会話は情報のやり取りや意見の交換、感情の表現などによって成り立ちます。相手の話を注意深く聞くことや質問に対して的確に返答することでより効果的になります。
良好なコミュニケーションは、信頼関係を築き深めます。そのことによって毎日がストレスなく楽しいものになり、協力や問題解決をスムーズにしてくれます。
会話は共同作業でありチームワークが必要です。相互理解と意思疎通を重視し、聞くことや話すことのバランスを取ることが大切です。そこには暗黙のルールが存在し、ほとんどの人は無意識にそのルールに従って会話を行っています。
そのルールとは、話す人は一人で、相手はその話を聞き、話し終わるとその役割を交代し、会話を続けるということです。
質問や言葉を投げかけられたら何かしら答えるべきで、無視をするというのはルール違反です。わからなかったとしても、「わからない」と返すことが普通だと思います。
会話で重要なのは、内容もさることながら、相手の考えや感情を知ることです。それらを加味し推測しながら会話は行われていきます。
会話はチームプレー
日常会話では、何か質問をされてから返答するまでの時間は、平均でわずか200ミリ秒ほど(英語)だと言われています。これは、まばたきと同じくらいの早さですが、日本語ではもっと早く10ミリ秒と言われています。逆に遅いと言われているデンマーク語でも500ミリ秒ほどなので、どちらにせよ1秒の半分ほどで反応しているわけです。
つまり、相手が話しているうちからそれに対する答えや自分の考えを用意しているということです。
なので、相手の返答が1秒以上返ってこないと、内容が伝わっているのか心配になったり、ともすれば遅いと感じるのです。
ちなみに、日本でのみ生活していると、他国の言語に対して返答が速い、遅いという印象は持ちにくいですが、欧米人にとってデンマークなどの北欧人は会話のテンポが遅いというのは、広く知られているらしいです。
逆を言えば、200ミリ秒と500ミリ秒という大きな差がないように思える時間差でも、人間は敏感に感じ取ることができるということでもあります。
繰り返しになりますが、会話での1秒以上の「間」というのは、相手からすると何かしらのストレスを感じさせるものになり得るということです。
省略の多い話し言葉
言葉には、話し言葉(口語)と書き言葉(文語)というものがあります。状況に応じて使い分けているわけですが、家族や友人など近しい人との会話では、話し言葉を使用していることがほとんどだと思います。
話し言葉は、砕けた表現でなおかつ主語などを省略して話すことも多く、その関係性によって変化します。
たとえば、目上の人や初対面の人に対して、聞き取れなかったからと言って「えっ?」などと聞き返すことはあまりないと思います。そこは、「すみません、聞き取れなかったので、もう一度言ってください」など丁寧に聞き返すはずです。
難聴者との会話でのすれ違い
難聴などで聞き取りにくさを感じている人にとって、砕けた表現や省略の多い会話というのは、情報量が少なく判断材料が乏しいため文脈からの推測にも限界があり、会話の内容を捉えにくくなりがちです。
相手が家族や友人の場合、書き言葉のような硬い表現で話すことはまずないので、難聴による聞き間違いが多いほど内容が理解しにくくなるのです。
そして、会話の内容が理解がしにくいということは、返答までに時間がかかるということなので、相手は内容が伝わっていないと思うか、無視されたと感じてしまうのです。いわば、ルール違反をされたように感じてしまうのです。
一方の難聴者本人は、自分の返答が遅いなどと考えているわけではなく、内容を理解しようと少ない情報の中から推測し、相手に返答しようとしているわけですが、返答が遅くなったり、内容に即した返答がなされないケースも多いため、相手からすると「無視された」「聞こえていない」「適当な返事をされた」となってしまうわけです。
ですから、厳密に言えば、聞こえていないわけではなく、聞こえた情報の中から導き出した答えを伝えようとしているわけなので、難聴者からすると、いわれのない非難をされ、否定されている感覚になりやすく、ともすれば自信を失うきっかけになりうるわけです。
補聴器はコミュニケーション改善アイテム
難聴者やその家族、友人にとって補聴器はスムーズなコミュニケーションを実現してくれるとても有効なアイテムです。聞き間違いを少なくし、会話のストレスを軽減してくれます。
「えっ?」と聞き返す頻度が増えていると感じたら、耳鼻科(補聴器相談医)や認定補聴器専門店(認定補聴器技能者)などの専門家に相談してみましょう。