雑音に慣れていく補聴器装用

Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス

雑音に慣れていく補聴器装用

放っておくと健康に悪影響を及ぼしかねない難聴。ご自身で難聴を自覚したり、ご家族や友人など周りに聞こえが悪い人がいる場合、「聞こえ」について少し考えてみる良い機会だと思います。聞こえのメカニズムは意外と複雑であり、それゆえに補聴器に対して誤解が生まれやすくなっています。今回は難聴と補聴器の関係をわかりやすく解説していきます。

脳の変化

年齢とともに悪くなる難聴を加齢性難聴といいます。

若い時は何不自由なく聞こえていた耳も、年齢を重ねるにつれ少しずつ聞こえにくくなってきます。数年かけて少しずつ落ちていくので自覚するのが遅い傾向にあるのも特徴です。聞こえにくい状態とは、言いかえれば静かな状態です。その静かな聞こえが続くと、脳はいつの間にか「聞こえにくい脳」に変化してしまいます。

聞こえにくい脳と補聴器

若い時には聞こえていた音も、「聞こえにくい脳」になると当然聞こえていない音が多くなります。当の本人は聞こえていないので、本来あるはずの音の存在に気が付くことはありません。したがって聞こえる音に対してのみ「聞こえている」と認識しています。

難聴の状態は、本人にとっては、静かで穏やかな環境です。問題は会話や説明を聞くときにだけ起こります。

 

この状態で補聴器を装用すると脳はどんな反応を見せるのでしょうか

 

「いろいろな音がしてうるさい」「遠くの音が近くに聞こえる」「雑音ばかり聞こえる」など、概ね否定的な反応をみせます。補聴器をすることによって、今まで聞こえていなかった音が次々と脳に届けられます。すると、脳は興奮状態になり、うるさく感じるのです。

今までは聞こえてなかったことが通常運転だったので、いきなりさまざまな音情報が入ってくると、脳は情報を処理しきれなくなってしまい、疲れてしまうのです。

会話を聞く前段階で情報量が多くてパンクしてしまうのです。

雑音とは?

補聴器をしていてうるさいと感じる音は、補聴器が勝手に作り出しているわけではなく実際に存在している音であることを忘れてはいけません。雑音にもたくさんの種類がありますが、ざっくり言ってしまえば、自分にとって聞く必要のない音が雑音です。極端なことを言えば、自分に関係ない他人の会話や的外れで説教じみた小言も雑音といえるのです。

そういった雑音は、聞こえが良かった時は多少うるさくても無視することができていた音です。難聴になって聞こえなかった音がいきなり聞こえ始めると意識がその音に集中して無視できなくなってしまい、うるさく感じてしまうのです。

 

◆聞えている脳の人には「いつもの邪魔な音」として脳が学習済なので無意識に無視できる。

◆聞こえにくい脳の人には「新しい邪魔な音」として脳が再学習する必要があるため、無視できない。

 

同じ音として存在しているのに脳のとらえ方が違うのです。

 

脳が学習すれば雑音は気にならなくなる

世の中は色々な音であふれています。

そのいろいろな音をすべて聞いたうえで脳は判断しています。聞こえにくい脳に聞こえていなかった音を届け続けることによって、脳は必要のない音を雑音として判断できるようになります。

少しずつ時間をかけて落ちてしまった聴力だからこそ、元に戻すのも時間をかけて戻す必要があるのです。そして、脳が学習すれば、雑音はほとんど気にならなくなります。アメリカの大規模調査によると、補聴器が適合するまでの平均来店回数は、初回フィッティングを含めて3.5回という報告があります。

補聴器の装用はすぐに効果が出にくいものですが、聴力に合ったフィッティングとスケジュールを行えば聞こえは改善します。

はじめて補聴器を装用する際には、ぜひ参考にしてみてください。

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