片耳だけ補聴器をするケースとは?
他人にはわかりにくい片耳難聴
突発性難聴やその他の原因によって片耳だけ聴力が低下してしまった場合、ほとんどの方は、片耳が聞こえにくい状態のまま生活していると思います。生活するうえで不便を感じるところと言えば、聞こえにくい方向からの呼びかけや、周りがざわざわうるさい中での会話だと考えられます。逆を言えば、周りが静かで、相手が正面にいる時の会話には、何の不自由もないのではないでしょうか。
とは言っても、片耳に難聴がある場合、複数人での会話は結構なストレスとなります。聞こえやすい方向からだけではなく、聞こえにくい方向からも話されるので、会話の内容が理解できないことも出てきます。
環境や条件によっては、聞こえにくさを感じさせないため、本人が申告しない限り、周囲の人間にはわからないことが多いです。時には、「無視された」といった誤解を招くこともありますので、片耳が聞こえにくいことを相手に伝えておいた方が、無用なトラブルにならないでしょう。
期間によって異なる補聴器の必要性
子供の頃に中耳炎が悪化して片耳難聴になっている知人が2人いますが、2人とも普段は口数が少なく、会話を聞くときには、聞こえやすい方の耳を突き出してきます。一方で、成人してから突発性難聴などによって片耳難聴になっている人は、前述の2人のようなことはなく、普通に会話をしますが、聞こえにくさに不便を感じていて、対策として補聴器を検討している場合が多いです。
子供のころから20年以上、片耳難聴の状態で生活をしてきた人に、補聴器をすすめることはあまりありません。そもそもご本人も補聴器の必要性を感じていないケースが多いような気がします。子供の頃に補聴器という選択肢がなかったことによる「聞こえにくさの常態化」が原因のような気がします。
一方の成人してから片耳難聴になった場合は、今までよりも聞こえにくい場面が自覚しやすいため、不便を感じる方が多いのだと思います。
聞こえの状態は同じでも、置かれた環境や経験によって補聴器の必要性は変わってくるのだと思います。
クロス補聴システム
片耳の聴力が著しく低下している場合は、補聴器の装用よりもクロス補聴器というアイテムの方が効果を発揮しやすい場合があります。良聴耳との聴力差がありすぎると補聴器からの音が邪魔をして逆に聞き取りが悪くなる場合があります。このような場合は、難聴側に送信機(クロス送信機)、良聴耳に受信機(補聴器)を装着することで、聞こえにくい側の音情報を良聴耳に送り聞くことが可能となります。形は補聴器と全く同じで、送信か受信の違いがあるだけです。耳掛け型や耳穴型、充電式が発売されています。
主に、仕事において不便を感じている方の使用が多いです。いろいろな方向から話しかけられるような仕事やバスやタクシーなどの運転席から話を聞くような仕事に効果的です。