補聴器の効果を知る方法はいくつかあります。大抵はそれらを組み合わせてユーザーの聞こえ方を確認していきます。
聞こえ方の確認は、調整を行うたびに測定していきます。これは、プロの料理人が「味見」をするのと似ています。料理も各工程ごとに味見をして狙い通りの味になっているのか確認しながら完成させていきます。
補聴器の調整も同じで、聞こえ方を測定し数値を出すことで目標の聞こえ方に近づけていきます。
効果測定(装用閾値測定)
補聴効果の確認は防音室などの音場でスピーカーを用いて行います。
ユーザーは調整された補聴器を装用し、左右別々に測定をしていきます。防音室などの静かな環境下で、スピーカーから出力される「ウォーブルトーン」という音を周波数ごとに聞き取って記録していきます。所要時間は左右合わせても10分くらいです。
そして、その測定結果をもとに十分な効果が得られていない周波数帯を見つけだし、調整を行っていきます。特に左右のバランスは大切で、裸耳に左右差があまりない場合はできるだけ同じような効果を目指します。
必要な設備と条件
設備
- 測定室
- オージオメーターなどの再生機器
- スピーカー
- 騒音計
条件
- 騒音が測定結果に影響しない程度であること
- 測定音の反響が測定に影響しない程度であること
- ユーザーの判断に影響するような心理的圧迫感がないこと
※スピーカーの位置はユーザーの頭と同じ高さとし、間隔は0.5m~1.0m。壁との距離は反響を考慮して1mほど離れていることが望ましいとされています。
調整の目標値
補聴器の調整を行う際には目標となる値が必要となってきます。単純に音量を上げて行けば聞き取りが良くなるわけではなく、聴力や周波数によって目標値は変わっていきます。
補聴器の調整では「利得」という言葉が使われます。日常生活ではあまり使われない言葉ですが、増幅の割合を示しており、補聴器の入力音と出力音の比のことです。英語ではGAIN(ゲイン)といいます。
まとめ
補聴効果の確認方法はこの1つだけではありませんが、この装用閾値測定は補聴器の効果を知るにはとても有効な測定方法です。専用の設備が必要になりますが、専門店であれば測定可能な環境を設けていますので専門家に相談してみましょう。