Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス
うるさく感じる周波数とは?
- ドアのチャイムは700Hz
- パトカーのサイレンは870Hz
- 電子レンジの音は2,000Hz周辺
- 新聞をめくる音は2,000Hz以上
補聴器がうるさく感じる原因は?
はじめて補聴器をする人にとって生活音は、うるさい雑音のように感じることがあります。今までほとんど意識していなかったさまざまな生活音が、補聴器をすることによって聞こえてきます。エアコンの音、扇風機の音、室外機の音、自動車の走行音、シンクに流れる水の音、などなど挙げ始めたらキリがありません。今までほとんど聞こえていなかった音がいきなり聞こえてくるわけですから、うるさく感じるのは当然の反応です。
これらの音は、会話には全く必要としない音ですが、実際に存在している音ですので、なくすことはとても不自然です。ですので、補聴器装用の一番良い状態というのは、補聴器を装用していろいろ聞こえているけど、必要のない音は無視できるようになることです。
少しややこしいですが、聞こえているからこそ、必要ない音を無視して、聞きたい音に集中できるのです。
以上のことから補聴器の装用は、できるだけ長く装用して音に慣れることがとても重要です。では、実際にどのような音がうるさく感じ、慣れていく必要があるのでしょうか。
1,000Hz~2,000Hzは中音域
人間が聴取可能な周波数は、20Hz~20,000Hzと言われています。この範囲から会話に必要な周波数帯を切り取ると、250Hz~6,000Hzくらいになります。会社などの健康診断では、1,000Hzと4,000Hzを測定することが多いようです。補聴器の調整に必要な範囲は、125Hz~8,000Hzとなります。
あえて周波数を分けるなら、125Hz~1,000Hzが低音、1,000Hz~2,000Hzが中音、2,000Hz~8,000Hzが高音といったところでしょうか。
多いのは高音が聞こえにくくなっている人
多くの加齢性難聴では、高音域の聞こえが低下します。高音域の低下は子音の聞き取りを悪くしますので、聞き間違いが多くなってきます。しかし、いきなり聞こえにくくなるわけではないので、自覚するまでに時間がかかることが多いです。
そうして時間をかけて少しずつ低下していった聴力を補うために、補聴器を装用すると、今まで聞こえていなかった高い音がたくさん聞こえてくるようになり、うるさく感じます。
水が流れる音は2KHz以上
はじめて補聴器を装用する人がよく訴えるのが、水の流れる音や紙がこすれる音がうるさいというものです。正確には水が流れる音というよりも、「流水がシンクなどに当たる音」ですが、周波数を測定してみると、2KHz以上の高音域がとても強調されていました。このことから、補聴器がしっかりと働いていることがわかるわけです。
補聴器が出す周波数は?
10万円前後クラスの補聴器では、250Hz~7000Hzまでを出力している補聴器が多く、最新のプレミアムクラス補聴器では、125Hz~12,000Hzまで出力可能な機種もあります。
さまざまな音を測ってみました
実際にいろいろな音を測ってみました。(以下、ミラックス調べ)
高い音
- 水がシンクに当たる音・・・2,000Hz以上
- 新聞をめくる音・・・2,000Hz以上
- 魚焼きグリルお知らせ音・・・2,000Hz
- 電子レンジ・・・2,000Hz
- 電子機器の操作音(ピッ)・・・4,000Hz
- トースター(チーン)・・・4,000Hz
- 体温計起動音・・・8,000Hz
- 体温計お知らせ音・・・6,000Hz
低い音
- アナウンス前の音(ピンポンパンポーン)・・・300Hz~800Hz
- ドアチャイム・・・700Hz周辺
- 消防車のサイレン・・・330Hz~850Hz
- パトカーのサイレン・・・870Hz
- 救急車のサイレン(ピーポーピーポー)・・・ピー音960Hz、ポー音770Hz
もっと低い音
- エアコンなどの送風音・・・100Hz周辺
- 自動車のエンジン音・・・100Hz周辺
身近なものほど高い音?
このようにいろいろな音の周波数を調べてみると、身近なものが高い音で、外で使う音が低い音のようです。
音は空気の振動です。その振動回数が多いと高い音(波長が短い)になり、振動回数が少ないと低い音(波長が長い)になります。音はその発生源から離れるほどエネルギーが減衰していくので、高い音の方が早く減衰します。遠くまで音を届けるためには低い音である必要があるのです。では、なんでも低い音にすれば良さそうなものですが、お知らせ音の多くが高い音になっているのには理由があります。
それは、同じ大きさの音だと、低い音より高い音に対しての方が人は聞き取りやすいからです。それに、日常生活では、周囲の雑音は低い音が多いので、高い音の方が気が付きやすいのです。
まとめ
はじめての補聴器装用でうるさく感じるのは、補聴器が働いている証拠でもあります。補聴器を装用し、高い音が認識できるようになると、早ければ2週間ほどで音に慣れてきます。時間が経つにつれて今まで気になっていた雑音が気にならなくなってきますので、そのタイミングを期に補聴器の調整を行っていくと、言葉の聞き取りがより改善されます。