同じ補聴器、異なる聞こえ
補聴器の世界シェアは5つのメーカーによって占められているので、世界中で販売、使用されている補聴器というのは、日本で販売されているものと何ら変わりはありません。しかし、その満足度は各国と比べるととても低い数字となっています。
2018年 | 満足度 | 2021年 | 満足度 |
---|---|---|---|
フランス | 82% | ベルギー | 82% |
スイス | 80% | オーストラリア | 77% |
ドイツ | 76% | 韓国 | 57% |
イギリス | 74% | 2022年 | 満足度 |
ノルウェー | 74% | フランス | 82% |
日本 | 38% | イタリア | 79% |
2019年 | 満足度 | ドイツ | 77% |
ポーランド | 79% | オランダ | 76% |
2020年 | 満足度 | イギリス | 75% |
中国 | 92% | デンマーク | 74% |
スペイン | 78% | 日本 | 50% |
日本(技能者FIT) | 64% |
同じ製品にもかかわらず聞こえの満足度が低い原因の一つとして考えられるのが、補聴器販売に従事する技能者のレベルの違いがあります。
ヨーロッパなどでは専門的な教育を受けた専門家のみが補聴器の販売・調整を行うことができるのに対し、日本ではそういった規制はありませんので誰でも補聴器を販売することが可能となっているのが現状です。
そのことにより同じ補聴器を購入しても聞こえの満足度に差が出るといったユーザーの不利益が発生しています。
補聴器技能者の資格
現在日本では公的に認定される資格はありませんが、それに準じる認定資格はあります。
それは、公益財団法人日本テクノエイド協会が主催する【認定補聴器技能者】制度です。
また、認定技能者が在籍し一定の基準を満たす設備を備えた店であれば【認定補聴器専門店】として申請することが可能で、審査に通れば認定店として登録可能となります。
公的補助金
日本での補聴器購入における公的補助は、障がい者手帳による福祉の枠組みでの支給の他に、自治体独自の取り組みがあります。
最近では自治体ごとの補聴器助成制度が拡充されつつあり、その要件の中に技能者による調整や認定店での購入が必須条件となっているケースも見受けられますので、公的な資格に準じると言っても差し支えないのではないでしょうか。
ただし、自治体の取り組みは条件や金額などバラバラで、そもそも実施されていないところも多く、日本全体でみると補聴器福祉は欧米各国と比べると見劣りしているのが現状です。
欧米各国では補聴器の調整は有資格者が行います。それだけ難しいということですが、残念ながら日本ではだれでも販売調整することが可能なため、技能者の質に大きなばらつきが出てきてしまい、その結果、ユーザーの満足度が低くなるといったことが起きます。
日本の補聴器満足度は上がってきている
2018年の満足度は38%とダントツに低かったですが、2022年では50%まで上がってきており、その中でも認定補聴器技能者による調整を受けた満足度は64%と少しマシになってきました。
補聴器に対する満足度は、専門店に限って抽出すれば結果は変わってきます。
専門店には前述の「認定補聴器技能者」が在籍している場合が多いため、適切な説明や測定、調整が行われていると考えられ、調査報告でもそのような結果が出ています。
参考:ジャパントラック2022
補聴器の満足度が心配なら専門的な勉強をしている「認定補聴器専門店」がおすすめです。