聴覚は働き者
音というのは空気の振動です。
ですから生活しているうえで音がない状態というのはまずあり得ません。自分が聞こえている、いないにかかわらず、どこかしらで音は発生しています。
ちなみに、睡眠時も聴覚は働き続けています。
人は特定の音によって、条件反射を起こすことがあります。例えば、風鈴の音色を聞くと涼を感じることがあります。
チリン、チリーン
昔の人の知恵ですね。
これは風と風鈴が関連付けられているわけですが、風鈴を知らない人からすると、ただの鈴の音でしかありません。そこに「風」は感じられないのです。
真っ青な空の写真があったとして、そこにセミの鳴き声を足せば、日本人のほとんどが「夏」をイメージするはずです。もしかすると暑さも感じるかもしれません。これが真っ青な空の写真だけの場合、受ける印象は人それぞれでバラバラになるはずです。
また、音は人の感情を揺さぶります。
効果音やBGMがあることで映画やドラマは臨場感が増します。音の大きさやリズム、メロディ、タイミングなどで主人公の感情や置かれている状況を表現して、観ている人の感情に働きかけるのです。
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難聴の場合は?
では、難聴になるとどのようなことが起こるのでしょうか。
難聴になると、上記のような音に対する反応が鈍くなり、状況判断がおろそかになったり、テレビなどの楽しみが半減するのは容易に想像できます。
いろいろな音情報が入ってこない状態というのは、言い換えれば脳が反応する機会が少なくなるということです。そもそも聞こえていない音には反応のしようありません。難聴におけるこのような損失は体の反応や感情の刺激だけではありません。
会話が聞き取りにくくなったり、聞き間違いや聞き返しが多くなることによって、相手とうまくコミュニケーションが取れなくなり、最終的には人間関係に影響が出てくることもあります。
難聴によって、意思疎通がうまくいかなくなり、人間関係が悪化した場合、難聴の改善は補聴器をすれば比較的簡単ですが、人間関係を元に戻すことはとても大変だと思います。
難聴によって発生するさまざまなマイナスは、補聴器をすることによって改善することが可能です。ですが、悪化しすぎたものを元に戻すのはとても大きな労力が必要となります。
聞こえの困りごとがあれば専門家に相談してみてください。エンターテイメントを楽しみ、会話を正しく理解し、楽しく会話することは、難聴状態を我慢することよりも何倍も、何十倍も価値のあることだと思います。
その聞こえ、プライスレスです!!