はじめに
補聴器にはいろいろなメーカーがあり、価格はどこも似たり寄ったりでそれほど大きな差はありません。クラスは4〜5つくらいあり、チャンネル数によって価格が変わってきます。
形状は、耳掛け型と耳あな型があり、割合としては耳掛け型の方が多いです。
耳掛け型はどのメーカーにも電池式と充電式がありますが、耳あな型は充電式が一部のメーカーでラインナップしており、電池式にのみのメーカーも多いです。(2023年)
どこのメーカーが良いのか
はじめて補聴器を購入する場合に悩むのが、どのメーカーが自分に合うのか、ということではないでしょうか。
補聴器専業メーカーは一般的に名が知られていないことが多いですが、、フォナック、シグニア、GNリサウンド、オーティコン、ワイデックス、スターキーと6つあり、これらのブランドが世界シェアの大部分を占めています。
まずはこの主要6ブランドの中から選べば安心だと思います。
では、はじめて補聴器を購入する際に自分に合うメーカーとはどんなメーカーなのでしょうか。聴力によって合う、合わないがあるのでしょうか。
結論から申し上げると、聴力によってメーカーの向き不向きはありません。
特に、はじめての補聴器装用の場合は、聴覚のトレーニングが行われていないので、初回フィッティングから満足のいく聞こえの改善を行うことはできません。複数回の調整が必ず必要で、その所要期間は早くても2ヵ月ほどを要します。
そのため、聴力に合った補聴器の調整が完了しないことにはメーカーの良し悪し、音質の向き不向きは比較できないのです。
そして、調整がきちんと行われていれば、どのメーカーの補聴器も聞こえの改善は満足のいくものになっているはずなのです。
形状と機能
補聴器を選ぶうえで一番重要なのは、メーカーではなく、聴力に合った形状や使用環境によって必要な機能が搭載されているかといったところです。上位クラスになるほど雑音が多い使用環境での会話が快適になります。
まずは自分の聴力に合った形状や必要な機能を専門家に相談すると良いと思います。
オージオグラム(聴力図)
耳鼻科や専門店で聴力測定をすると、オージオグラムという聴力図によって難聴のパターンや度合いなどを知ることができます。
このオージオグラムをもとに専用のフィッティングソフトを用いてセッティングをしていきます。
このオージオグラムというものは、メガネの処方せんのようですが、実はまったく目的が異なります。メガネの処方せんは、眼科医の指示のもと記載された値通りにレンズを作製しなければなりません。眼鏡店が勝手に値を書き換えることはできません。
一方のオージオグラムは閾値を測定し記載したものなので、どちらかというと視力の完全矯正と同じものと言えます。
視力の完全矯正とは、最も視力を出せるように補正した時の値で、メガネの装用度数を決定するための土台となる値です。
オージオグラムも補聴器のセッティングをするうえで必要な土台となる値であり、補聴器の音量等を決定、指定しているものではありません。
初装用は比較できないが経験者は比較できる
専門家はオージオグラムの値をもとに補聴器の調整を行っていくわけですが、ここで厄介なのは、はじめての補聴器装用者と補聴器装用経験者では、設定できる音量が異なってくるということです。
補聴器の効果が出るように設定することは、各種測定を行い調整すれば可能なのですが、はじめての方の場合は、適正な効果を出すほどうるさく感じて疲れてしまい、使えないことがほとんどです。
そこで、はじめての補聴器装用の場合は、聴覚のトレーニング期間を設ける必要が出てくるというのは前述したとおりです。
一方の補聴器装用経験者は、聞こえていることが当たり前になっているので、しっかりとした効果が出ている補聴器を装用してもうるさく感じることはありません。
なので、経験者に限れば好みのメーカー、好みの音質というのは比較できるということになります。
さいごに
はじめて補聴器を購入するときはわからないことがたくさんあると思います。
そんな時にはぜひ専門家に相談してみてください。
補聴器の専門家とは認定補聴器技能者であり、その技能者が在籍しているのが認定補聴器専門店となります。
補聴器を購入する際は、ぜひお近くの認定補聴器専門店や認定補聴器技能者を探してみてください。