視覚と聴覚
視覚情報と違い、聴覚情報は消えてなくなってしまいます。それゆえ、聞き取りにくい場合は、聞き返す必要が出てきます。
見る
視覚情報、例えば紙に印刷された説明書などの文字情報は、視線を外さなければ文字が消えることはありません。屈折異常や老眼などの問題がある場合は文字がぼやけて読みにくくなりますが文字が消えることはありません。
スマホやタブレットと違い、紙の説明書が読みやすいように大きくなることはありません。ましてや紙の説明書に、読みにくいからもっと大きな字にしてくれと頼んでもただの独り言です。
このままだと説明文を読むことができないため、老眼鏡の必要性を感じ眼鏡店へ赴きます。
聞く(会話)
では聴覚情報、とりわけ会話はどうでしょうか。
会話ではその情報はどんどん更新され、その場にとどまることはありません。会話は相手とやり取りしながら進め、万が一聞き取りにくい場合は会話をストップして相手に確認、もしくは聞き返す必要が出てきます。
もちろん相手は同じ内容を再度伝え、会話を継続していきます。
老眼で文字がぼやけて読みにくい事と違うのは、難聴で聞こえにくい場合は会話の内容が理解できるまで聞き返せば問題は解決できます。
自分の労力は聞き返すことのみで、あとは相手に頑張ってもらうというスタンスです。
しかし、そこには別の問題が出てきます。まず、聞き返して得られた情報が聞き間違いなく正しい情報なのか判断しにくいということがあります。
一つ例を挙げてみます。
太郎:こないだコロナになって大変だったよ
花子:あら、大変だったね。ケガしなかった?
太郎:・・・?・・・熱はあんまり出なかったけどね
花子:・・・?・・・そうなんだ。私もこないだ雨の日に転びそうになって危なかったよ。
太郎:・・・・・
難聴者の花子さんは、太郎さんが「転んだ」と認識しているため、それに沿って話を進めようとしていますが、実際には、太郎さんはコロナに感染した話しをしているため話しが食い違ってしまっています。まるですれ違いコントです。
このような例は珍しいことではなく難聴者にとっては日常的にあると思います。そして聞き間違いに気が付かず、話しが進行し完結していることもあることでしょう。相手は何かモヤっとしたまま話しを終えます。
もう一つの問題は、話し相手が会話をすることを負担に感じ、必要最低限のことしか伝えなくなるという問題です。それはもはや会話ではなく業務連絡です。そこにコミュニケーションの楽しみはありません。
聞く(テレビ)
では、会話ではなくテレビ視聴の場合はどうでしょうか。
テレビの音声が聞き取りにくい場合、まずは音量を大きくしてテレビを見ると思います。これは言い換えればスマホの文字を大きくしているのと同じです。
テレビの場合、問題となるのが同居者からのクレームです。つまり、テレビの音が大きすぎてうるさいと言われてしまうことです。
そこで、難聴者はテレビを見る時には外付けのテレビ用スピーカーを検討、購入するケースが多いです。これは老眼鏡に近いかもしれません。
テレビ用スピーカーを使用している方は結構多いです。
言い換えれば、その方たちの多くは会話が聞き取りにくく、聞き間違いが発生している可能性が高いということです。
補聴器の役割
補聴器は会話を聞き取りやすくしてくれるアイテムですが、その他にもテレビの音声や鳥のさえずり、秋虫の鳴き声、後方から近づいてくる車の音など聞こえているべき音を認識させてくれるアイテムでもあります。
聞こえに問題を感じたら専門家に相談してみましょう。