言葉の聞き取り【語音明瞭度測定】

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 補聴器を装用するためにいろいろな聴力測定を行いますが、その中で、「語音聴力測定」というものがあります。この測定は、「純音聴力測定」と同じくらい重要な測定で、補聴器の効果を知るためには必要不可欠な測定です。

 難聴の状態は、相手が何かを言っていることはわかるが、何を言っているのか理解できないといったことがたびたび起こります。音は認識しているけれども言葉の意味がわからないといった状態です。

 

 理由としては、難聴によって十分に言葉が聞き取れていないうえに、聞き間違えをしているからと思われます。たとえば「が」を「ら」に聞き間違えたり、「き」を「い」に聞き間違えてしまうことで、会話の内容が分かりにくくなるのです。

 通常、1つ、2つの語を聞き間違えていたとしても、会話の流れから内容を推測して理解することができます。しかし、その聞き間違いが、10語、15語あったらどうでしょうか。どんなに身近な話題でも、その内容を理解することは難しいと思います。難聴の状態は、そういった聞き間違いを引き起こしやすい状態だと言えます。このような言葉の聞き取りの測定を「語音明瞭度測定」といいます。

 

明瞭度測定と最高明瞭度

 明瞭度測定は、異なる大きさの音量で言葉の聞き取りの正解率を出していきます。その中で、最高の正解率であった値が「語音弁別能」または「最高明瞭度」となります。つまり、その人の聞き取りの能力の最高値ということになります。

 補聴器の調整は、音の大きさの他に、この最高明瞭度を目標に調整を行っていきます。

 

明瞭度測定

 明瞭度測定は、純音聴力測定と同じようにヘッドホンを装着して、「あ」や「じ」といった単音や無意味な音節を聞いてもらい、正しく聞き取れた割合を出していきます。一般的に1表20語からなる「67-s語表」が良く使用されています。最高明瞭度は、単純に音圧レベルを上げれば正解率が高くなるわけではないので、複数の音圧レベルで測定し、確認する必要があります。

 

最高明瞭度

 語音弁別能(最高明瞭度)とは、難聴者が十分に聞き取れる音量でいくつかの語を聞き取り、その最高の正解率のものです。難聴の状態では聞き間違えていた語も、十分な音量で聞くことにより正しく聞き取れているかを知ることができます。逆に言えば、難聴者によっては、十分な音量でも聞き間違えてしまう語があるということになります。

 

 一般的に弁別能が60%以上得られれば、会話の内容が理解できると言われています。つまり、補聴器を装用して、必要な音を耳に届けたとき、60%以上の弁別能が得られれば、補聴器の効果が見込めるということです。

 仮に弁別能が60%未満であったとしても、補聴器の装用は難聴者の助けになります。しかし、60%未満の場合は、装用者へより丁寧な説明をすることが必要となってきます。

 

難聴の種類によって正解率に差が出る

 語音弁別能は、伝音難聴の方が感音難聴よりも正解率は高いです。これは、聞き間違う原因が、内耳の蝸牛と呼ばれる器官の中にある「有毛細胞」のダメージに因るところが大きいからです。有毛細胞のダメージが大きいほど聞き間違いをしやすくなります。伝音難聴は、外耳から中耳までに原因がある難聴ですので、内耳に問題がない場合は、補聴器などのアイテムを使用すれば聞き間違いはほとんどなくなります。

 一方の感音難聴の場合はというと、問題が内耳にあるため、弁別能の正解率に個人差が出てきます。補聴器をして、しっかりと調整を行っても、極端に弁別能が低い場合は、期待したほどの効果が見込めません。

 前もって補聴器の効果をある程度把握できる測定ですので、この「語音明瞭度測定」は必ず行う必要があるのです。

 

補聴器を装用しての明瞭度測定

 補聴器装用時の明瞭度測定は、補聴器の効果を把握するために行われます。装用者本人が「聞こえている」と申告していても、実際の聞こえの効果は測定してみなければ分かりません。補聴器を装用した状態で、スピーカーから聞こえてくる語を複数の音圧レベルで聞き取り、測定します。最高明瞭度に近いほど調整がうまく行えていることになります。

 

まとめ

 語音明瞭度測定は、補聴器の調整に欠かすことのできないものです。測定をすることで、補聴器の効果が把握できますので、必ず行ってもらいましょう。

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