高い音が聞こえないマスク難聴

マスクをしたミラ夫
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Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス

高い音が聞こえないマスク難聴

コロナ時代の難聴

 2019年終わり頃に発生した「新型コロナウイルス感染症」は、世界中の人々の生活を一変させるインパクトがありました。ソーシャルディスタンス、3密、テレワーク、オンライン飲み会など、今まで全く馴染みのなかった単語が日常会話に定着しました。

 そして、世界中でスタンダードになりつつある生活スタイルが、マスクの着用ではないでしょうか。日本はもともとマスク着用率が高い国でしたが、さらに拍車をかけてマスク人口が増えました。

マスクをしていると聞きにくい

 人は会話をするときに、相手の口の動きを見ながら話を聞いています。特に難聴者にとって、口の動きはとても重要な情報源となっています。しかし、相手がマスクをすることによって、その貴重な情報源が絶たれてしまい、聞き取りが困難になる状況が生まれます。それは、周りの環境が雑音の多い場合に顕著になり、難聴者のストレスとなります。

 世界シェアトップクラスの補聴器メーカーである「シグニア補聴器」がマスク着用時の影響や対策についてのレポートを出しています。その実験では、スピーカーからの音源を測定し、マスクの有無でどのような差が生じるかを測定しています。

 一般的な会話音である65dBの音を、マスクがない状態と、スピーカーにマスクを被せた状態で測定した結果、マスクありの場合、特に高音域での減衰があることがわかりました。高音域は子音の聞き取りに関係しているので、マスクをすることによって、聞き間違いが起こりやすくなることが想定されます。補聴器をしていても補っていたはずの周波数帯に不足分が生まれてしまうのです。

 マスク着用による聞き取りの悪化への対策としては、相手がマスクを着用している時の専用プログラムを作成し、その都度、リモコンやスマホで切り替えるようにすると良いでしょう。普段から高音域を大きめに設定してしまうと、「キンキン」と響いてしまい補聴器が使いづらくなってしまいますので、少し面倒でも、切り替えを行う方がおすすめです。特に、病院などへ行く際は、「マスクプログラム」で聞き取りやすくすると良いでしょう。

 最新デジタル補聴器であれば、プログラムは3~6つくらい作成できます。専門家に相談して作成してもらいましょう。

 

耳掛け型補聴器とマスクの相性は良くない

 ここ10年くらいの補聴器のトレンドは、小型の耳掛け型補聴器(RICタイプ)です。そのラインナップには、充電式が加わり、さらに割合を増やしています。耳掛け型は、耳型を採る必要がなく、さまざまな聴力パターンに対応しているためとても人気があります。しかし、デメリットもあります。それは、メガネやマスクとの干渉です。耳掛け型は耳の後ろに本体がくるため、どうしても眼鏡のツルやマスクのゴム紐と干渉してしまうのです。

 特に、マスクを外す時に、補聴器も一緒に外れてしまうことが多く、補聴器ユーザーのストレスとなっています。

 

耳穴型補聴器の復権

 RICタイプが主流になる前まで、補聴器のトレンドは耳穴型補聴器でした。耳穴型補聴器は、本体が小さく、目立ちにくいという理由から多くの補聴器ユーザーに人気がありました。一方で、デメリットもありました。それは、聴力によっては、自分の声が響いてしまったり、小さいがゆえにパワー不足で十分な効果が得られない場合があったということです。今でこそテクノロジーの進歩である程度改善されてきましたが、耳穴型補聴器を選ぶ際は、、専門家の説明が充分でないと、満足のいかない結果になりがちなのです。その結果、RICタイプの出現とともにその割合を減らし、2000年には約50%だった割合が、2019年では約28%まで減りました。

 

 そんなトレンドの変遷がある中で発生したコロナ禍、お客様から耳穴型補聴器のお問い合わせが急激に増えてきました。最新デジタル補聴器は強力なハウリング抑制機能が搭載されているため、10年前の補聴器よりも快適な装用感を実現しています。

 フォナック補聴器の「バート・マーベル」はチタンシェルタイプのものや、Bluetooth搭載で、スマホとのダイレクト通話が可能なモデルもあります。GNリサウンド補聴器には、外マイクタイプでより小型に、風切り音が軽減されるモデルが人気です。そして、シグニア補聴器は、オリジナルデザインの「COOL」がとてもスタイリッシュです。

まとめ

 コロナ時代の新しい生活様式に、マスクは欠かせません。相手がマスクを着用していても聞き取りが改善できるように工夫が必要です。また、高額な補聴器をマスクの着脱でなくさないための注意や対策も必要になってきます。ぜひ、専門家に相談してみてください。

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