Last Updated on 2024年8月16日 by 補聴器専門店ミラックス
誤差を少なくして快適に
実耳測定器Unity3には、AutoFitという機能が搭載されており、その機能を使うことでユーザーの目標利得(ターゲットゲイン)を自動的に短時間に正確に割り出すことができます。
補聴器の調整を難しくしているのは、初期設定の誤差と音量感のズレに因るところが大きいです。
初期設定に必要な項目とは、「聴力データ」「裸耳利得データ」「耳栓やシェル形状」「補聴器経験値」であり、それらの値をもとに処方式によって目標利得を算出します。
・詳しくはこちらを参考にしてください
意外と知られていない?補聴器の音の決め方【目標利得/ターゲットゲイン】
音量感のズレとは、音の大きさに対して過剰に大きく感じてしまう状態のことで、補聴器が初めての場合、それまで聞こえていなかった音や小さく聞こえていた音が、補聴器をすることで良く聞こえるために起こります。
これは、補聴器の装用経験年数で解決します。いわゆる「慣れ」というものです。
とても重要なポイント「正しい目標利得」
音量感のズレは経験値によって変わりますので、まず初めに合わせるべきは「正しい目標利得」です。
目標利得とは、聴力に対してどの程度増幅するかを周波数ごとに決めた値です。理想は過不足なくバランス良く増幅できている状態です。そこから全体の音量を上下させ音量感のズレに対応していきます。
例えば、中音域は目標値に近いが、低音域と高音域の増幅がうまくいっていないケースでは、全体の音量だけを操作してもうまくいくことはありません。まずは全体のバランスを良くする(正しい目標利得にする)ことが先決です。
誤差の原因<裸耳利得>
なぜ、このような誤差が出てしまうのかというと、それは「実耳測定/REM」で裸耳利得を測定していないことが一番の原因となります。
その他の項目はミスがないように気を付けていれば誤差は少なく済みますが、裸耳利得は測定しない限り正確な値は出ません。この裸耳利得というものは、外耳道の共鳴度合いのことなのですが人によって異なります。
そのため裸耳利得を測定せずに目標利得を出そうとすると、平均値を参考にせざるを得なくなります。
ユーザーの裸耳利得ではなく、平均値を基準に目標利得を算出すれば誤差が出るのは当然のことです。
補聴器満足度が高い欧米各国では実耳測定は当たり前の測定で、ほぼ必須項目となっています。
AutoFitで目標利得を自動算出
前置きが長くなりましたが、それだけ初期設定、特に実耳測定が大事だということです。
ミラックスで導入している実耳測定器はシバントス社の「Unity3」というもので、シグニア補聴器の製品であれば自動的に最適な目標利得を算出することが可能です。
AutoFitのメリット
その名も「AutoFit」、ユーザーはスピーカーから出力される測定音を聞いているだけでよく、所要時間も短時間で済みます。算出された目標利得はバランスが良いため、その後の調整回数も少なく済みます。
従来の装用閾値測定での調整に比べると調整にかかる時間はかなり短縮されるので、ユーザーの負担も少なく済みます。
他メーカーの調整
Unity3は、シグニア以外の補聴器でもAutoFit機能のようなものが使えたりします。最近ではフォナック補聴器が「ターゲットマッチ」という名称で自動算出できるようになりました。
その他のメーカーも自動算出はできませんが、実耳測定での調整の方が誤差が少なく、調整にかかる時間や回数も少なく済みます。そして総じて満足度が高いです。
さいごに
AutoFitで設定された目標利得が絶対ではありませんが、設定後に行う効果測定の結果を見てみると、今までは何回も調整を重ねて得られた値がすぐに算出されるので、ユーザーの負担が少なく済む点が最大のメリットと言えるでしょう。
当店では算出された値をもとにスピーチマッピングを活用してさらに微調整を行っていきます。