補聴器の調整状態を確認
補聴器の調整がうまくいっているのか、自分の聴力に合っているのか、補聴器ユーザーであれば誰しもが気になるところかと思います。
補聴器調整の難しいところは、装用初心者と経験者では設定できる音の大きさが異なる点です。初心者もいずれは経験者になるので、将来的には経験者と同じ音量になるのですが、初期のフィッティングのままだと「なんとなくの聞こえ」で過ごすことになります。
また、補聴器の調整は聴力レベルに応じた周波数ごとの調整になるわけですが、補聴効果を確認するための測定方法によっては充分に合わせることができない場合があります。
装用閾値測定(ファンクショナルゲイン測定)
日本で一般的な補聴効果測定方法に「装用閾値測定」というものがあります。
これは、ユーザーが補聴器を装用した状態でスピーカーから出力された測定音を聞き取り、聞こえたタイミングで応答ボタンを押していく、というものです。
メリットとしては、静かな環境であればスピーカーなど簡単な設備で測定できる点です。
デメリットとしては、ユーザーが応答する必要があるため、反応の正確さを確認することが難しい点にあります。その他にも測定ポイントが非連続であること(決まった周波数しか測定音として提示できない)なども挙げられます。
通常、上記のようなデメリットを解消するためには、複数回の測定を行い、誤差を少なくして行く必要があります。では、何回くらいの測定、調整が妥当なのかというと、ユーザーによるとしか言えないのが難しいところです。
連続した周波数セッティング<実耳測定>
実耳測定/REMでは、ユーザーの応答を必要とせず、連続した周波数調整を行うことが可能です。
実耳測定での補聴器フィッティングは、ユーザーの聴力レベルに対して正確に利得設定できる点です。
また、設定をしたうえで、スピーチマッピングによる聞こえの確認をすることでより満足度の高い補聴器に設定することが可能です。
スピーチマッピング
スピーチマッピングとは、意味をなさない多言語の音声(日本語は含まれていません)を測定音としたもので、補聴器を装用した状態で、実際の音声がどのくらい鼓膜に届いているのかを視覚的に確認できる測定方法です。
音声には母音と子音がありますが、それぞれ配置されている周波数帯が違います。
スピーチマッピングでは、ユーザーの聴力レベルに対して補聴器の調整状態で音声が閾値上(聞こえているレベル)に入っているか確認することができます。
補聴器の利得(音量)が周波数ごとに不足または過剰になってないかを視覚的に確認できます。それも連続した周波数で確認できるためメリットは大きいです。
実耳測定のメリット
また、ポイントとして、測定中にユーザーは何もする必要がないということです。鼓膜に届いている測定音は、耳に挿入したプローブチューブで拾われるためユーザーは聞こえた、聞こえないの判断をする必要はありません。
そして、実耳測定はその正確さゆえに調整回数が少なく済みます。
ただし、聴覚の慣れは音の大きさに対しての慣れなので、ある程度時間はかかるものだと思っておくと良いと思います。
まとめ
装用閾値測定での調整は、複数回の測定によって平均値を見ながら誤差を修正していくのに対して、実耳測定での調整は、正確に設定できるため調整にかかる時間が少なくユーザーの負担が軽減されます。
また、スピーチマッピングを行うことで「聞こえを視覚的に確認できる」というメリットもあります。
ぜひ、補聴器の設定は実耳測定導入店をご利用ください。