処方式を用いて音を決める
補聴器の音は、ユーザーの「聴力データ」と「裸耳利得データ」をもとに処方式を用いて算出されます。
現在主流の「NAL-NL2」という処方式では、補聴器の装用経験や男女、難聴の度合いによって増幅度合いを決めています。
算出された値を目標利得(ターゲットゲイン)といい、ユーザーの音に対するうるささ(ラウドネス)によって強弱を決め、弱い場合は音に慣れてきた段階で目標利得に近づけていきます。
補聴器の音を決めるのに必要なもの
【「聴力データ」「裸耳利得」「装用経験値」「処方式NAL-NL2」】=目標利得(ターゲットゲイン)
聴力データ
聴力データとは、オージオグラムと呼ばれる周波数ごとの聴力レベルを記録したものです。健康診断や耳鼻科、専門店などで検査、測定されます。
裸耳利得データ
裸耳利得データとは、ユーザーの外耳道共鳴を測定したもので、「実耳測定/REM」によって求めることが出来ます。
実耳測定の機器がない場合は補聴器調整ソフトに設定されている「平均値の裸耳利得データ」で代替します。
装用経験値
補聴器の装用経験値は、はじめて使用するのか経験豊富なのかというところで、音の大きさを決めます。
処方式NAL-NL2
処方式にはいろいろな種類がありますが、現在主流になっているのは「NAL-NL2」というもので、ほとんどのメーカーオリジナル処方式の基礎となっています。
ちなみにその他の処方式にNAL-NL1やDSLといったものがあります。これらの処方式は補聴器調整ソフトで変更することが出来ます。当然、処方式を変更すると算出される目標利得は変わってきます。
借り物の裸耳利得データ使用の注意点
聴力データを使用し目標利得を算出する場合は必ず裸耳利得データが必要になります。
しかし、日本の現状では、実耳測定を行っている施設が少ないためほとんどの場合「借り物の裸耳利得」である平均値を用いて算出しています。
平均値を採用して算出される目標利得は、ほぼ誤差が出るため、そのことを念頭に置いてに調整しないとうまくいかないことが多いです。
裸耳利得は測定した方が良い
実耳測定を行うことで処方式に必要なデータが揃うので、算出される目標利得の誤差はかなり少なくなります。
実耳測定は専用設備と知識が必要なため導入のハードルは高いですが、補聴器満足度が高い欧米ではほぼ必須の測定となっていることから、今後は日本でも標準的なものになると思います。
その他の目標利得の求め方
ちなみに聴力データを用いずに目標利得を算出する方法もあります。
それは、ラウドネスを用いた方法です。ラウドネスとは、主観的な音の大きさ(うるささ)のことで、正直、この方法は技能者が習うことはありません。なのでよくわかりませんが、想像するにすごく手間と時間がかかる算出方法なのかなと推測されます。
さいごに
補聴器を購入する際は、認定補聴器専門店などの専門店をおすすめします。
なんとなくの調整よりもしっかりと調整された補聴器でストレスの少ない補聴器を手に入れましょう。