主流は2つの形
補聴器には大きく分けて3つの形状があります。
耳掛け型、耳穴型、箱型(ポケット型)が一般的な形状で、骨導式も含めるとメガネ型やカチューシャ型などもあります。ただし、現在主流となっているのは耳掛け型と耳穴型の2タイプで、その割合は合計すると全体の98%近くを占めています。
2022年のタイプ別構成比(日本補聴器工業会)
- 耳掛け型・・・58.9%
- 耳穴型・・・38.7%
- ポケット型・・・2.3%
耳掛け型(電池式・充電式)
耳掛け型補聴器には、チューブを使用する従来型とレシーバー(スピーカー)が本体の外に配置されているRIC型(Receiver In Canal)があります。バッテリーは電池交換式と充電式がラインナップされています。
チューブを使用するタイプは、本体が大きくなるため扱いやすく、耳あかが多かったり、耳漏(耳だれ)がある方にはメンテナンスがしやすいという利点があります。ただし、チューブは劣化するので定期的な交換が必要になります。
RIC型は小型で目立ちにくく人気があります。レシーバーが耳の穴の中に配置されるため、高出力が必要でも本体の大きさは変わりません。また、レシーバーは交換可能なためパワー変更も容易です。
お洒落な形状
RIC型では、細長い形状のスリムタイプが最近人気になっています。充電式のみのラインナップで、メガネとの相性も良く、見た目もスタイリッシュです。
- シグニア補聴器:「スタイレット」
- フォナック補聴器:「フォナック スリム」
耳穴型(電池式・充電式)
耳穴型には、オーダーメイドと既製のタイプがあります。メガネやマスクとの干渉がないためコロナ以降、需要が高まっています。耳掛け型と違い、耳あな型は全てのメーカーで充電式をラインナップしているわけではありません。電池交換式の方が本体を小さく作製でき、充電式は本体が大きくなる傾向にあります。
オーダーメイド耳あな型は、耳型を採取し作製します。耳の穴の中に印象材(インプレッション)を注入し型を採ります。ユーザーの耳にピッタリ合うので脱落の心配がほとんどありません。一方の既製タイプは、シリコンゴム製の耳栓を装着し使用します。
耳の穴を外耳道と呼びますが、外耳道の形状は人によってかなり異なります。通常、外耳道は鼓膜に向かってカーブしていますが、そのカーブの角度は人によって異なります。また、それに加えて穴の大きさや向きも異なってくるので、既製の耳栓よりもオーダーメイドの方が補聴器の効果は発揮されやすいです。
ちなみに耳型採取は、認定補聴器技能者などの専門家に採取してもらうのが安心です。
自分に合った形状は?
基本的に形状が異なっていても同じシリーズの同じクラスであれば、中に入っている部品は同じなので、どのような形状を選んだとしても最終的には同じ効果が期待できます。
ただし、聴力レベルや聴力パターン、補聴器の経験値などによって、より合いやすい形状というものがあるので、認定補聴器技能者などの専門家に相談するのが良いでしょう。