聴力レベル・dBHLとは
耳鼻科などで測定される聴力測定は、周波数ごとの閾値(聞こえはじめ)を測定しています。その結果は「dBHL」という単位で表されます。dBは音の強さ(デシベル)、HLは聴力レベル(Hearing Level)となります。
難聴の場合、人によって低下している周波数は異なるため、聞こえ方もそれぞれ異なります。これは、内耳にある有毛細胞のダメージが関係しています。(感音難聴)
有毛細胞は場所によって担当する周波数が決まっているため、ダメージを受けているとその周波数はうまく脳に電気信号が送れなくなり、そのため聞こえにくくなります。
つまり、聴力レベルというのは、周波数ごとのセンサーがどれだけ正常に働いているのかを表しています。
補聴器をすると聞く力が衰える?
たまに聞かれるのは、補聴器をすると聴く力が衰えて、ますます聞こえが悪くなるのではないかという懸念の声です。
ですが、上記の通り、聞こえの仕組みの中には、聞こえの調節筋みたいなものはありません。どれだけ有毛細胞がきれいに残っているかでその人の聞こえ方は決まります。
そして、耳に入ってきた音は内耳(有毛細胞)で電気信号に変換され脳に送られます。脳は、それらの情報を処理して認識し、「聞こえる」となるわけです。
これを「聴覚」といいます。
聴覚を働かせるためには正確な情報が必要
ここで重要なのは、難聴の状態で脳に送られる音情報は、曖昧で不完全であるということです。
難聴者が会話をする場合は、不完全な情報をもとに脳が処理をして「聞こえる」となるため、実際には、音は聞こえているけれども理解がしにくいといった状況に陥るのです。
補聴器の役割と調整の重要性
補聴器は、脳に送る音情報を可能な限り正確にするための補助アイテムです。音を一律に大きくするのではなく、ダメージを受けている箇所の有毛細胞の代わりに働き、その周波数帯を中心に音を大きくし聞こえを改善します。
補聴器の調整は周波数ごとの調整が不可欠であり、聞こえの改善には必須となります。
補聴効果測定
日本では、補聴器の調整が適正かどうかを評価するのに、防音室内での音場閾値測定などが推奨されています。
この効果測定方法は、被測定者が補聴器を装用した状態でスピーカーから発せられる測定音を聞き、聞こえた段階で応答ボタンを押す。といったもので、周波数ごとに測定していきます。
そして、その測定結果をもとに目標値に近づける調整を行っていきます。
ちなみに効果測定の方法は他にもあり、大抵はそれらを組み合わせて聞こえの客観的評価を行っていきます。
まとめ
聞こえとは、耳に入ってきた振動(音)を内耳で電気信号に変換し脳に送り、その音情報をもとに脳が処理をしてはじめて「音」として認識します。
加齢性難聴に代表される感音難聴は、脳に電気信号を送る有毛細胞のダメージによって引き起こされています。現在、有毛細胞の治療は残念ながらできません。よって、聞こえの改善は補聴器に頼ることが一般的です。
しかし、その補聴器も適正な調整が行われないとその効果はとても限定的になってしまいます。
補聴器の調整は、認定補聴器専門店や認定補聴器技能者が在籍している専門店で行うのがおすすめです。