聞き間違いと会話の帯域【スピーチバナナ】

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 人が聞くことができる音の範囲(可聴閾値)は、20Hz~20,000Hzと言われていますが、耳鼻科や補聴器専門店などで聴力を測定する際は、125Hz~8,000Hzの聴力を測定します。これは、会話の帯域がその範囲に収まるからで、その形がバナナに似ていることから「スピーチバナナ」とも呼ばれています。

 

聴力図とスピーチバナナ

 縦軸が音圧(dB)で、数字が大きくなるほど強くなっていきます。横軸は周波数(Hz)で、数字が大きいほど高音となります。

 母音の「a、i、u、e、o」は音圧が強い500Hz付近に分布され、子音は音圧が弱い2,000Hz以上に広く分布されています。

平均聴力図

 加齢性難聴は、高音域から聴力が低下しはじめ少しづつ低域に移動していきます。加齢による聴力の一般的な傾向としては、60歳を超えると4,000Hzの弱い音圧(20dB)付近に分布されている子音が聞き取りにくくなり、70歳を過ぎてくると2,000Hz~4,000Hzの音圧(40dB)付近に分布されている子音が聞き取りにくくなってきます。

聞き間違えの起こり方

 一般的な加齢性難聴で言葉を聞き間違えてしまうのは、高音域の聴力が低下し、子音が曖昧に聞こえるためです。子音は母音に比べて短く弱く発音されるうえに周波数が広く拡散されるため間違いが起こりやすいのです。

 母音は500Hzの強い音圧付近に分布されているので、低音域の聴力が低下していなければ、あまり聞き間違えることはありません。しかし、魚(sakana)と高菜(takana)のように「s」と「t」がハッキリと聞こえていないと区別することが難しくなってきます。

 

 母国語が英語などの子音を多用する言語の場合は、補聴器の必要性を早く感じるかもしれません。日本語には「th」の音はありませんが、英語にはたくさんあるので聞き間違いも多くなることでしょう。

さいごに

 補聴器は聞き取りにくくなっている周波数帯を聞き取りやすい音量まで上げて、会話をスムーズにするためのアイテムです。聞き間違いが多いと感じたり、会話は聞こえてはいるけれど内容が良くわからないなど、生活に不便を感じているなら補聴器を検討されると良いでしょう。

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