Last Updated on 2021年6月11日 by 補聴器専門店ミラックス
気導と骨導聴力測定
補聴器の調整に必要な聴力測定項目に、純音聴力測定というものがありますが、気導と骨導の2つがあるのをご存じでしょうか。
気導聴力は、ヘッドホンから測定音を聞いてもらい、骨導聴力は、振動を伝えるレシーバーを耳の後ろの骨に当てて測定音を聞いてもらいます。
どちらも「ピー、ピー」といった測定音を聞き取り、聞こえたらボタンを押していくといった、とてもシンプルでわかりやすい測定です。
低音域から高音域までの大体5~9くらいの周波数帯をそれぞれ測定していきます。少しでも聞こえたら反応ボタンを押してもらうことで、被測定者の聴力レベルを知ることができます。
健聴者は、0dB~15dBほどのかすかな音でも反応できます。一方で難聴者は、30dB以上の音圧ではじめて反応します。反応できた音圧が聴力レベルとなります。
ちなみに、40dB以上が中等度難聴で、難聴を自覚しやすい聴力レベルだと言われています。また、日本では、70dB以上の高度難聴が障がい者手帳の交付対象となります。
骨導聴力測定とは?
気導聴力は、外耳(耳の穴)、中耳(鼓膜、耳小骨)、内耳(蝸牛)の順番でお音が伝わる聴力ですが、骨導聴力は、骨を伝って直接内耳に音が伝わる聴力のことです。
骨導聴力測定の必要性
気導聴力測定は、健康診断などでも行われるので、広く周知されている聴力測定だと思います。一方の骨導測定は、馴染みのない人も多いかもしれません。しかし、個の骨導聴力測定は、補聴器を使用するうえで、とても大切な測定となります。
前述したとおり、骨導聴力は、外耳、中耳は関係ありませんので、耳を塞いでいても音は骨を伝って聞こえてきます。つまり、気導聴力と骨導聴力に差がある場合は、外耳もしくは中耳に何らかの原因があると推察できるのです。これをABギャップ(Air-Bone-gap)と言います。
一番わかりやすいのは、外耳に耳あかが詰まっていて、気導が塞がれている場合です。その他にも中耳炎で炎症を起こしていて聞こえが悪くなっている場合もあります。これらの症状は、耳あかを除去したり、中耳炎を治療すれば聞こえが改善する可能性は高いです。
ですから、骨導聴力測定は、必ず行わなくてはならないのです。耳あかが詰まっているのに補聴器から音を出しても聞こえるはずがありません。中耳炎などは、補聴器を装用することで、症状が悪化する可能性だってあります。
まとめ
補聴器を装用するにあたっていろいろな聴力測定を行いますが、純音聴力測定の気導聴力と骨導聴力は基本の測定項目です。その他にも語音明瞭度測定も基本の測定となっています。測定時間は、上記の3項目で約20分はかかります。補聴器相談の参考にしてください。