補聴器がピーピーうるさいハウリング

ミラ夫とハウリング
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Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス

補聴器がピーピーうるさいハウリング

補聴器のマイナスイメージ

 補うためのアイテムという点で、メガネと補聴器に大した違いはないですが、市民権を得ているのはメガネです。補聴器が市民権を得られないその原因の一つとして、補聴器はピーピー鳴ってうるさいというマイナスイメージがあるのではないでしょうか。それは、間違いではなく、実際にそうだった過去があるからです。昔はメガネもマイナスイメージの塊でした。フレームは黒縁が主流で種類が少なく、ガラスレンズは重たくてすぐにずり落ちるなど、出来ることなら掛けたくない物でした。それが今では種類が豊富で、レンズはプラスチックで薄くて軽く、その人の個性を表すアイテムとなっています。

 補聴器は進化しています。昔のような悪目立ちするような物はなく、デザイン性に富んでいますし、ピーピー鳴ることもありません。それどころかスマホなどで操作が可能な機種もありとても便利で使いやすくなっています。

 

補聴器がピーピー鳴ってうるさい

 もしも、ご自身やご家族の補聴器がピーピー鳴っている場合、それはハウリング、またはフィードバックと呼ばれる現象が引き起こされています。ピーピー鳴ってしまう原因としては、耳栓がきちんと装着されていない、耳穴と耳栓が合っていない、補聴器が故障している、ハウリング抑制機能が働いていない、などが考えられますが、それらのほとんどが専門店に相談すれば改善されます。

補聴器のハウリングって何?

 ハウリングとは、電気回路で出力の一部を入力側に戻して出力を増大、または減少させることです。補聴器の場合は完全にマイナスに働く現象となります。簡単に言えば、補聴器から漏れ出た音を補聴器のマイクが拾って、どんどん増幅させてしまっている状態です。ほとんどの場合、耳あなと耳栓が合っていないことで引き起こされます。

 難点はいくつかあって、ハウリングリスクが高いことにより、増幅がMPO(最大音圧出力)まで到達し、バッテリーの消費が激しくなり、バッテリー寿命が早まります。また、ピーピー鳴っていることは周囲にも聞こえているので注意もされてしまいますし、何よりも装用者自身の聞こえが悪くなります。

 最近の補聴器には、必ずハウリング抑制機能が搭載されていますが、その精度にはメーカーや機種によって差があります。最新機種は音声を損なうことなくより効果的にハウリングを抑制してくれます。

ハウリング抑制の仕組み

 音は空気の振動です。その音波の上下運動のことを位相と言います。そして、音波は正反対の波形を当てると打ち消されるという性質を持っています。この性質を利用して補聴器では逆位相キャンセリングという方法でハウリングを抑制しているのです。

 ここで問題になるのが、補聴器を使用する環境というのは常に変化しているという点です。入力される環境音はもちろん、装用者本人が会話をすることによって耳栓が動くことも考えられます。補聴器はハウリングを起こす音波のピークを絶えず追跡して抑制しなければならないのです。そのためには適切な環境認識と細かく分かれたチャンネル数(またはバンド数)が必要になってきます。

チャンネル数とは

 チャンネル数とは、補聴器を調整する際に動かすことのできる周波数帯の分割数です。数字が多い方がより細かく分割されていて高性能だとされています。ハウリング抑制においてチャンネル数が多い利点とは、ハウリングの元となる音波のピークをより細かく追跡できるので、会話に必要な音声部分を損なうことなく抑制が可能な点です。ざっくり言えば、音声を小さくすることなくハウリングを抑えるということです。つまり、会話音はよりクリアで聞き取りやすくなるわけです。

ハウリング抑制機能の差

 このハウリング抑制技術は、デジタル処理を行うことによって可能になります。ですからデジタル以前の補聴器はピーピー鳴るリスクは非常に高かったので、音が漏れないように耳型を採って物理的に抑えていました。それでもハウリングは起きてしまうくらい、とても厄介な問題だったのです。また、少し話は逸れますが、耳型を採取して作製したイヤモールドは耳に密着するので圧迫感があり、装用感が良くありませんでした。

 補聴器がデジタル化になって約25年、逆位相キャンセリングが搭載され始めたのが2003年頃です。ですから、早くに逆位相キャンセリングを採用したメーカーはさまざまな位相パターンをデータ蓄積しているため、より正確で適切な逆位相のパターンを当てられることになります。メーカーによってハウリング抑制に差が出るのはこのためです。

補聴器の装用感が良くなった

 補聴器を装用するうえで、一番わずらわしく感じる点として、耳栓の圧迫感があります。特に低域の聴力が残っている場合は、自分の声がこもって聞こえとても強い違和感を覚えます。

通常、自分の声や咀嚼音は骨伝導で伝わり外耳道(耳の穴)を振動させ、低音域が増幅されています。しかし、耳の穴に何もない状態であればその低音域の音は外に出て行くので気になることはありません。そこに補聴器を装用すると、増幅された低音域の音が外に出なくなるため、そのまま感じてしまうことになります。これを外耳道閉鎖効果といいます。

 この外耳道閉鎖効果を軽減するために登場したのがオープン耳栓です。これは耳栓に穴を開けることによって低音域の音が外に出るようにしています。低域の聴力が低下している場合は向きませんが、こもり感が気になる方にはとても有効です。そして、これを実現するためには高度なハウリング抑制機能が必要となるのです。

さまざまな形の既製の耳栓

オープンタイプの耳あな型も登場

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