デジタル補聴器の機能と正しい使い方

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Last Updated on 2020年12月23日 by 補聴器専門店ミラックス

デジタル補聴器の機能と正しい使い方

デジタル補聴器の進歩と限界

補聴器の性能がテクノロジーの進歩のおかげで飛躍的に向上しています。最新の補聴器は、装用するだけで周囲の音環境を認識、判断して会話を聞き取りやすくするための最適な処理を自動で行ってくれます。

ただし、補聴器にも限界はあります。環境によっては期待したほど効果が発揮できないこともあります。しかし、そういった聞き取りが難しい環境というのは、概して健聴者でも聞き取りにくい環境であることが多いのです。

では、一般的に言葉が聞き取りにくい環境や条件とはどのようなものなのでしょうか。

【言葉が聞き取りにくい環境・条件】

  • 周りがうるさい
  • 相手が自分の正面にいない
  • 口元がマスクで覆われていて見えない
  • 早口
  • 滑舌が悪い
  • 声が小さい
  • 相手が離れている
  • 同時に話しかけられる

などなど、ある程度の差はあれど、健聴でも難聴でも聞き取りが難しくなります。

 

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少し前のドラマですが、高身長の有名俳優が町工場の社長役で出演していた時、俳優の滑舌が悪くセリフが聞き取りにくかったのは私だけではないはずです。視聴者全員がそれなりの集中力を必要としました。また、お祭りなどで周りがうるさく、雑音だらけのうえ相手が離れた場所に位置していてれば、同じように誰でも聞き取りは困難になります。

ドラマは面白かったですが、、、

 

にぎやかな場所では聞き取りは悪くなる

では、逆に言葉の聞き取りが良い環境、条件はどうでしょうか。

【言葉の聞き取りが良い環境・条件】

  • 周りが静かである
  • 相手の口元が見えている
  • 相手の正面1m前後に位置している
  • 相手の声が十分に聞き取れる声量である
  • 相手の滑舌が良い

以上の条件に近ければそれだけ聞こえやすくなります。

しかし、実際の生活環境においてすべてをクリアできることは少ないです。そして、厄介なのは難聴により聞こえが低下していると、少しの環境悪化によって、途端に聞こえが悪くなることです。

それは音が聞こえないということではなく、聞き間違えと雑音が重なってしまい、会話の内容が理解しにくくなるということです。軽度から中等度難聴者はそういった聞き取りにくい環境で特に聞こえに困るのです。ちなみに高度難聴以上だと環境や条件が整っていたとしても補聴器なしでは聞き取りは難しいです。※高度難聴は70dB以上の難聴で障がい者総合支援法の適用となります。

補聴器は上記のうち、周りが静かである状態相手の声量が充分な状態に聞こえを調整してくれます。高度な雑音処理機能とマイク指向は難聴者の助けになります。そして、補聴器装用者ご本人はもちろん、そのご家族、ご友人が協力してより聞き取りやすい環境に近づけることが更なる聞き取りやすさにつながるのです。

 

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実際の生活環境における難聴者の状態と補聴器の基本的な働きについて

聞こえの良い条件実情難聴の状態補聴器の働き
周りが静かである街中やレストラン、スーパーなど周りが静かな環境は意外と少ない周りに雑音が多いと極端に聞き取りが悪くなる。雑音に邪魔されて聞き取りが困難になる主に後方の雑音を抑える雑音抑制機能が働き正面の会話を聞き取りやすくする
相手の口元が見えているマスクをしていたり、散歩などで相手が横にいるなどいつも正面にいるわけではない難聴者に限らず視覚情報がないと、聞くことに通常よりも多くの労力が必要になる物理的に口元が隠れている場合は音量を調整、横にいる場合は会話音を自動で割り出し聞き取りやすくする
相手の正面1m以内に位置している通常の会話は1m前後の距離で行われている場合が多い。遠くなればそれだけ音圧は弱くなる周りが静かであれば軽・中等度難聴であれば聞き取りは問題ないことが多い基本的に補聴器は近くの相手の会話を良く聞き取れるようにプログラムされている
相手の声量が充分に聞き取れる音量である人によって声量は異なる。健聴の場合はある声量に対して共通認識を持つが、難聴だと聴力レベルにより感覚的にずれる補聴器によって健聴と同じ感覚で音の大きさをとらえることができる

 

最新機能でさらに聞き取りやすく

今まで不可能だったことがテクノロジーのおかげで可能になってきました。各メーカーはうるさい環境の中でも言葉の聞き取りを改善できるように開発を進めています。

マイク指向性(狭範囲)

周りの雑音が大きければそれだけ言葉は聞き取りにくくなります。そこで、補聴器のマイクを正面のごく狭い角度に絞り会話音を拾うビーム指向性、ウルトラズームという機能が開発されました。この機能は左右にあるマイクの働きによって聞き取りの範囲を狭くして聞き取りを改善させるものです。したがって両耳装用時のみの機能となります。最新のものは自動的に範囲を変更してくれるのでユーザーは聞き取りたい相手の方向を向くだけで聞き取りが改善されます。

マイク指向性(360度)

周りが比較的静かな環境であれば会話音を自動で割り出し、側方や後方の会話音を聞き取りやすくしてくれる機能です。車に乗っている時など相手が正面にいないときなどに有効な機能です。こちらの機能も両耳装用時のみの機能です。

雑音抑制(環境認識適応)

静かな場所やうるさい場所など環境に応じて雑音抑制の働きを自動で調整してくれる機能です。これは静かな環境で雑音抑制が強く働くと言葉の聞き取りに影響が出ることを防いだり、逆にうるさい環境の場合は、通常よりも雑音抑制を強く働かせるものです。自動で働くのでユーザーは特別な操作をする必要はありません。

マイク指向性でより聞きやすく

 

その他にも聞き取りの改善に役立つ機能が各メーカーあります。そして、そのほとんどが自動で働いてくれるのでユーザーは意識することなく会話を楽しむことが可能となっております。

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